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March 5, 2020 Vol. 382 No. 10

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前立腺癌の診断における MRI 標的生検,系統的生検,および併用生検
MRI-Targeted, Systematic, and Combined Biopsy for Prostate Cancer Diagnosis

M. Ahdoot and Others

背景

系統的前立腺 12 ヵ所生検を用いることは,前立腺癌の過剰診断と過小診断の両方に寄与する「診断の不正確性」を伴う.MRI 可視病変を有する男性では,MRI で標的化して行う生検により前立腺癌の誤分類が減少する可能性がある.

方 法

MRI 可視病変を有する男性に,MRI 標的生検と系統的生検の両方を行った.主要転帰は,グレードグループ(グリーソン分類)別の癌の検出とした.グレードグループ 1 は臨床的に重要でない癌,グレードグループ 2 またはそれ以上は予後良好な中リスクまたはそれ以上の癌,グレードグループ 3 またはそれ以上は予後不良な中リスクまたはそれ以上の癌とした.生検後に根治的前立腺全摘除術を受けた男性において,生検から手術標本の全病理組織学的解析にいたる過程での,グレードグループの上昇と低下を記録した.副次的転帰は,グレードグループ 2 以上の癌とグレードグループ 3 以上の癌の検出,事前の生検結果で層別化した癌の検出,生検–根治的前立腺全摘除術間でのグレードの再分類とした.

結 果

2,103 例が両方の生検を受け,そのうち 1,312 例(62.4%)がこれらの 2 つの生検の併用(併用生検)により癌と診断され,404 例(19.2%)が根治的前立腺全摘除術を受けた.MRI 標的生検による癌検出率は,系統的生検と比較して,グレードグループ 1 の癌で有意に低く,グレードグループ 3~5 の癌で有意に高かった(いずれの比較も P<0.01).併用生検では,いずれかの生検を単独で行うよりも癌の診断が 208 例(9.9%)多く,458 例(21.8%)でグレードグループが上昇した.しかし,MRI 標的生検のみが行われていた場合,臨床的に重要な癌(グレードグループ 3 以上)の 8.8%は誤分類されたと考えられる.生検後に根治的前立腺全摘除術を受けた 404 例では,併用生検は,手術標本の病理組織学的解析でグレードグループが 3 以上に上昇した患者の割合(3.5%)が,MRI 標的生検(8.7%),系統的生検(16.8%)と比較して最小であることに関連した.

結 論

MRI 可視病変を有する患者において,併用生検によりすべての前立腺癌の検出が増加した.しかし,MRI 標的生検単独では,一部の腫瘍の組織学的グレードが過小評価された.根治的前立腺全摘除術後に病理組織学的解析でグレードグループ 3 以上に上昇した患者は,併用生検後で大幅に少なかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.Trio 研究:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00102544)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 917 - 28. )