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July 9, 2020 Vol. 383 No. 2

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SOD1 変異による筋萎縮性側索硬化症に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド薬トフェルセンの第 1・2 相試験
Phase 1–2 Trial of Antisense Oligonucleotide Tofersen for SOD1 ALS

T. Miller and Others

背景

トフェルセン(tofersen)は,スーパーオキシドジスムターゼ 1(SOD1)メッセンジャー RNA の分解を仲介し,SOD1 蛋白合成を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドである.SOD1 変異に起因する筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療にトフェルセンの髄腔内投与が検討されている.

方 法

SOD1 変異に起因する ALS の成人を対象にトフェルセンを評価する第 1・2 相用量漸増試験を行った.4 用量のグループ(20,40,60,100 mg)を設定し,トフェルセンを 12 週の期間に 5 回髄腔内投与する群とプラセボを投与する群に,参加者を 3:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は安全性と薬物動態とした.副次的評価項目は,85 日目における脳脊髄液(髄液)中 SOD1 濃度のベースラインからの変化量とした.臨床機能と肺活量を測定した.

結 果

50 例が無作為化され解析の対象となった.48 例が計画されていた 5 回の投与をすべて受けた.腰椎穿刺に関連する有害事象が大部分の参加者で認められた.髄液中の白血球数の増加と蛋白濃度の上昇が,それぞれトフェルセンの投与を受けた参加者の 4 例と 5 例で有害事象として報告された.トフェルセンの投与を受けた参加者のうち,1 例が肺塞栓症で 137 日目に死亡し,1 例が呼吸不全で 152 日目に死亡した.プラセボ群では 1 例が呼吸不全で 52 日目に死亡した.85 日目における髄液中 SOD1 濃度の,ベースラインからの変化量のトフェルセン群とプラセボ群の差は,用量 20 mg では 2 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] -18~27),40 mg では -25 パーセントポイント(95% CI -40~-5),60 mg では -19 パーセントポイント(95% CI -35~2),100 mg では -33 パーセントポイント(95% CI -47~-16)であった.

結 論

SOD1 変異に起因する ALS の成人において,12 週の期間に最大用量のトフェルセンを髄腔内投与した場合,CSF 中 SOD1 濃度が低下した.トフェルセンの投与を受けた参加者の一部には髄液細胞増多が認められた.腰椎穿刺に関連する有害事象が大部分の参加者で認められた.(バイオジェン社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02623699,EudraCT 登録番号 2015-004098-33)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 109 - 19. )