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September 24, 2020 Vol. 383 No. 13

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小児の下痢に対する低用量の亜鉛 ― 無作為化多施設共同試験
Lower-Dose Zinc for Childhood Diarrhea — A Randomized, Multicenter Trial

U. Dhingra and Others

背景

世界保健機関は,急性下痢症を発症した小児に対して亜鉛 20 mg/日を 10~14 日間投与することを推奨している.しかし先行試験では,この用量で下痢は減少したが,嘔吐は増加した.

方 法

急性下痢症を発症したインドとタンザニアの生後 6~59 ヵ月の小児 4,500 例を,硫酸亜鉛を 5 mg,10 mg,20 mg のいずれかの用量で 14 日間投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,5 日を超える下痢,排便の回数(非劣性解析で評価),亜鉛投与後 30 分以内の嘔吐の発現(優越性解析で評価)の 3 つとした.

結 果

下痢が 5 日を超えて持続した児の割合は,20 mg 群で 6.5%,10 mg 群で 7.7%,5 mg 群で 7.2%であった.20 mg 群と 10 mg 群の差は 1.2 パーセントポイント(98.75%信頼区間 [CI] 上限 3.3), 20 mg 群と 5 mg 群の差は 0.7 パーセントポイント(98.75% CI 上限 2.8)であり,いずれも非劣性マージンである 4 パーセントポイントを下回った.下痢便の平均回数は,20 mg 群で 10.7 回,10 mg 群で 10.9 回,5 mg 群で 10.8 回であった.20 mg 群と 10 mg 群の差は 0.3 回(98.75% CI 上限 1.0),20 mg 群と 5 mg 群の差は 0.1 回(98.75% CI 上限 0.8)であり,いずれも非劣性マージン(2 回)を下回った.投与後 30 分以内の嘔吐は,20 mg 群で 19.3%,10 mg 群で 15.6%,5 mg 群で 13.7%に発現し,10 mg 群のリスクは 20 mg 群と比較して有意に低く(相対リスク 0.81,97.5% CI 0.67~0.96),5 mg 群のリスクも 20 mg 群と比較して有意に低かった(相対リスク 0.71,97.5% CI 0.59~0.86).低用量は,投与後 30 分を過ぎて発現した嘔吐が少ないこととも関連していた.

結 論

低用量の亜鉛は,標準用量の 20 mg と比較して,小児の下痢の治療における有効性に関して非劣性を示し,嘔吐の発現が少ないことと関連していた.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.ZTDT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03078842)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1231 - 41. )