October 1, 2020 Vol. 383 No. 14
心房細動患者に対する早期リズムコントロール療法
Early Rhythm-Control Therapy in Patients with Atrial Fibrillation
P. Kirchhof and Others
心房細動の管理は向上しているにもかかわらず,心房細動患者は心血管合併症のリスクが高いままである.早期リズムコントロール療法によってこのリスクを低減できるかどうかは明らかにされていない.
盲検下で転帰を評価する国際共同研究者主導並行群間非盲検試験で,早期心房細動(組入れ前の 1 年間に診断)と心血管疾患を有する患者を,早期リズムコントロール群と通常診療群に無作為に割り付けた.早期リズムコントロールでは,無作為化後に抗不整脈薬投与または心房細動アブレーションなどを行った.通常診療では,リズムコントロールは心房細動関連症状を管理する場合に限定した.第一の主要転帰は,心血管系の原因による死亡,脳卒中,心不全の悪化または急性冠症候群による入院の複合とし,第二の主要転帰は,1 年間に病院で夜を過ごした日数とした.主要安全性転帰は,死亡,脳卒中,リズムコントロール療法に関連する重篤な有害事象の複合とした.副次的転帰として,症状や左室機能なども評価した.
135 施設で,2,789 例の早期心房細動患者(診断からの期間の中央値 36 日)が無作為化された.1 例あたりの追跡期間中央値が 5.1 年の時点で行われた 3 回目の中間解析で有効性が示されたため,試験は中止された.第一の主要転帰イベントは,早期リズムコントロールに割り付けられた患者のうち 249 例(100 人年あたり 3.9)と,通常診療に割り付けられた患者のうち 316 例(100 人年あたり 5.0)に発生した(ハザード比 0.79,96%信頼区間 0.66~0.94,P=0.005).病院で夜を過ごした日数の平均(±SD)に群間で有意差は認められなかった(それぞれ 1 年あたり 5.8±21.9 日と 5.1±15.5 日,P=0.23).主要安全性転帰イベントが発生した患者の割合に群間で有意差は認められず,リズムコントロール療法に関連する重篤な有害事象は,早期リズムコントロールに割り付けられた患者の 4.9%と,通常診療に割り付けられた患者の 1.4%に発現した.2 年の時点での症状と左室機能に群間で有意差は認められなかった.
早期心房細動と心血管疾患を有する患者において,早期リズムコントロール療法を行った場合,通常診療を行った場合と比較して有害な心血管転帰のリスクが低いことに関連した.(ドイツ教育研究省ほかから研究助成を受けた.EAST-AFNET 4 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN 04708680,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01288352,EudraCT 登録番号 2010-021258-20)