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November 19, 2020 Vol. 383 No. 21

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軽症~中等症の Covid-19 に対するヒドロキシクロロキンの単独投与とアジスロマイシンとの併用との比較
Hydroxychloroquine with or without Azithromycin in Mild-to-Moderate Covid-19

A.B. Cavalcanti and Others

背景

ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンは,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)患者の治療に用いられてきた.しかしこれらの治療法の安全性と有効性に関するエビデンスは限られている.

方 法

Covid-19 が疑われるか確認されて入院し,酸素投与を受けていないか,受けている場合は投与量が 4 L/分以下の患者を対象に多施設共同無作為化非盲検 3 群比較試験を行った.患者を,標準治療,標準治療+ヒドロキシクロロキン 400 mg を 1 日 2 回,標準治療+ヒドロキシクロロキン 400 mg を 1 日 2 回+アジスロマイシン 500 mg を 1 日 1 回(いずれも 7 日間)に 1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,修正 intention-to-treat 集団(Covid-19 が検査で確認された患者)における 15 日の時点での臨床状態とし,7 段階の順序尺度(1~7 で,スコアが高いほど状態が不良であることを示す)を用いて評価した.安全性も評価した.

結 果

667 例が無作為化された.Covid-19 が確認された 504 例を修正 intention-to-treat 解析の対象とした.標準治療との比較で,15 日の時点での 7 段階の順序尺度のスコアが高くなる比例オッズには,ヒドロキシクロロキン単独投与による影響は認められず(オッズ比 1.21,95%信頼区間 [CI] 0.69~2.11,P=1.00),ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンによる影響も認められなかった(オッズ比 0.99,95% CI 0.57~1.73,P=1.00).ヒドロキシクロロキンの投与を受けた患者は,アジスロマイシンとの併用の有無にかかわらず,いずれの投与も受けなかった患者よりも補正 QT 間隔の延長と肝酵素上昇の頻度が高かった.

結 論

軽症~中等症の Covid-19 で入院した患者において,ヒドロキシクロロキンの使用は,アジスロマイシンとの併用の有無にかかわらず,標準治療と比較して 15 日の時点での臨床状態を改善させなかった.(ブラジル Covid-19 研究同盟 [Coalition Covid-19 Brazil],EMS ファーマ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04322123)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 2041 - 52. )