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December 3, 2020 Vol. 383 No. 23

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高頻度マイクロサテライト不安定性進行大腸癌に対するペムブロリズマブ
Pembrolizumab in Microsatellite-Instability–High Advanced Colorectal Cancer

T. André and Others

背景

治療歴のある高頻度マイクロサテライト不安定性(MSIH)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)腫瘍において,プログラム死 1(PD-1)の阻害は臨床的利益をもたらす.MSI-H–dMMR 陽性の進行または転移性大腸癌に対する一次治療として,PD-1 阻害の化学療法と比較した有効性は明らかにされていない.

方 法

第 3 相非盲検試験で,治療歴のない転移性 MSI-H–dMMR 大腸癌患者 307 例を,ペムブロリズマブ 200 mg を 3 週ごとに投与する群と,化学療法(5-フルオロウラシルベースのレジメンを単独,またはベバシズマブもしくはセツキシマブと併用)を 2 週ごとに行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.化学療法を受ける患者は,病勢進行後にペムブロリズマブ療法へのクロスオーバーを可能とした.主要エンドポイントは無増悪生存期間と全生存期間の 2 つとした.

結 果

2 回目の中間解析を行った追跡期間(無作為化からデータカットオフまで)中央値 32.4 ヵ月(範囲 24.0~48.3)の時点で,ペムブロリズマブは,無増悪生存期間に関して化学療法に対する優越性を示した(中央値 16.5 ヵ月 対 8.2 ヵ月,ハザード比 0.60,95%信頼区間 [CI] 0.45~0.80,P=0.0002).追跡期間 24 ヵ月の時点における制限付き平均生存期間の推定値は,ペムブロリズマブ群で 13.7 ヵ月(範囲 12.0~15.4)であったのに対し,化学療法群では 10.8 ヵ月(範囲 9.4~12.2)であった.データカットオフ日の時点で,ペムブロリズマブ群の 56 例と化学療法群の 69 例が死亡していた.全生存期間のデータは蓄積中であり(必要イベント数の 66%が発生),最終解析まで盲検を維持する.固形癌治療効果判定基準(RECIST)バージョン 1.1 で評価した全奏効(完全奏効または部分奏効)は,ペムブロリズマブ群の 43.8%と化学療法群の 33.1%に認められた.そのうち,24 ヵ月の時点で奏効が持続していた患者の割合は,ペムブロリズマブ群で 83%であったのに対し,化学療法群では 35%であった.グレード 3 以上の治療関連有害事象の発現率は,ペムブロリズマブ群で 22%であったのに対し,化学療法群では 66%(死亡 1 例を含む)であった.

結 論

ペムブロリズマブを MSI-H–dMMR 転移性大腸癌に対する一次治療として投与したところ,化学療法と比較して無増悪生存期間が有意に延長し,治療関連有害事象は少なかった.(メルク シャープ&ドーム社,スタンドアップトゥキャンサーから研究助成を受けた.KEYNOTE-177 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02563002)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 2207 - 18. )