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August 27, 2020 Vol. 383 No. 9

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1 型糖尿病児におけるクローズドループコントロールの無作為化試験
A Randomized Trial of Closed-Loop Control in Children with Type 1 Diabetes

M.D. Breton and Others

背景

クローズドループインスリン送達システム(人工膵臓とも呼ばれる)は,1 型糖尿病児の血糖転帰を改善する可能性がある.

方 法

16 週間の多施設共同無作為化非盲検並行群間試験で,6~13 歳の 1 型糖尿病児を,クローズドループインスリン送達システムによる治療を受ける群(クローズドループ群)と,センサー付きインスリンポンプによる治療を受ける群(対照群)に 3:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,持続血糖モニタリングで測定した血糖値が目標値の 70~180 mg/dL に達していた時間の割合とした.

結 果

101 例が無作為化され(クローズドループ群 78 例,対照群 23 例),ベースラインの糖化ヘモグロビン値は 5.7~10.1%であった.血糖値が目標値の 70~180 mg/dL に達していた時間の割合の平均(±SD)は,クローズドループ群ではベースラインの 53±17%から 67±10%(治療を行った 16 週間の平均)に上昇し,対照群では 51±16%から 55±13%に上昇した(補正後の差の平均 11 パーセントポイント [1 日あたり 2.6 時間に相当],95%信頼区間 7~14,P<0.001).血糖値が 70 mg/dL 未満であった時間の割合の中央値は,両群とも低かった(クローズドループ群 1.6%,対照群 1.8%).クローズドループ群で,システムがクローズドループモードであった時間の割合の中央値は 93%(四分位範囲 91~95)であった.糖尿病ケトアシドーシスや重度の低血糖を発症した例はいずれの群にもなかった.

結 論

1 型糖尿病児を対象としたこの 16 週間の試験で,クローズドループシステムを使用した場合のほうが,センサー付きインスリンポンプを使用した場合よりも血糖値が目標値に達していた時間の割合が高かった.(タンデム・ダイアベティス・ケア社,米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03844789)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 836 - 45. )