グリセミック指数,グリセミック量,心血管疾患と死亡
Glycemic Index, Glycemic Load, and Cardiovascular Disease and Mortality
D.J.A. Jenkins and Others
グリセミック指数(GI)と心血管疾患の関連に関するデータの大半は,高所得の欧米諸国の集団から得られたものであり,低・中所得の非欧米諸国に関する情報は少ない.この差を埋めるには,地理的に多様な大規模集団のデータが必要である.
解析には 5 大陸に居住する 35~70 歳の参加者 137,851 例が含まれ,追跡期間中央値は 9.5 年であった.食事摂取を評価するために国別の食物摂取頻度調査票を用い,7 分類の炭水化物含有食品の摂取量に基づいて GI とグリセミック量(GL)を推定した.多変量 Cox フレイルティモデルを用いてハザード比を算出した.主要転帰は,主要心血管イベント(心血管死,非致死的心筋梗塞,脳卒中,心不全)または全死因死亡の複合とした.
研究対象集団では,追跡期間中に 8,780 例が死亡し,8,252 例に主要心血管イベントが発生した.GI の最低五分位群と最高五分位群との比較で広範な補正を行ったところ,高 GI 食品と主要心血管イベントまたは死亡のリスクが高いこととの関連が,心血管疾患を有していた参加者(ハザード比 1.51,95%信頼区間 [CI] 1.25~1.82)と有していなかった参加者(ハザード比 1.21,95% CI 1.11~1.34)の両方で認められた.主要転帰の項目のうち,GI 高値は心血管死のリスクが高いこととも関連していた.GL に関する結果は,ベースラインで心血管疾患を有していた参加者では GI に関する結果と同様であったが,有していなかった参加者では有意な関連は認められなかった.
この研究では,高 GI 食品は心血管疾患と死亡の高いリスクと関連していた.(公衆衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)