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April 15, 2021 Vol. 384 No. 15

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敗血症で人工呼吸管理を受けている成人の鎮静に用いるデクスメデトミジンとプロポフォールとの比較
Dexmedetomidine or Propofol for Sedation in Mechanically Ventilated Adults with Sepsis

C.G. Hughes and Others

背景

ガイドラインでは現在,人工呼吸管理を受けている成人に対してデクスメデトミジンまたはプロポフォールによる浅い鎮静を目標とすることが推奨されている.これらの鎮静薬には,易覚醒性,免疫,炎症に差がある.これらの差が,敗血症で人工呼吸管理を受け,浅い鎮静が行われている成人の転帰に異なる影響を与えるかどうかは不明である.

方 法

多施設共同二重盲検試験で,敗血症で人工呼吸管理を受けている成人を,デクスメデトミジン(0.2~1.5 μg/kg 体重/時)の投与を受ける群と,プロポフォール(5~50 μg/kg/分)の投与を受ける群に無作為に割り付けた.用量は,臨床医がリッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS;スコアの範囲は -5 [無反応]~+4 [好戦的])に基づいて設定した鎮静の目標を達成するよう,ベッドサイドの看護師が調節した.主要評価項目は,14 日間の介入期間中に,せん妄または昏睡なく生存していた日数とした.副次的評価項目は,28日時点での人工呼吸器非装着日数,90 日死亡,6 ヵ月時点での「電話による認知機能スクリーニング質問票」(TICS-T;スコアの範囲は 0~100,平均は 50±10 で,スコアが低いほど認知機能が不良であることを示す)の年齢で補正した合計スコアとした.

結 果

無作為化された 432 例のうち,422 例が試験薬の投与に割り付けられ解析対象となった.214 例が中央値で 0.27 μg/kg/時のデクスメデトミジンの投与を受け,208 例が中央値で 10.21 μg/kg/分のプロポフォールの投与を受けた.試験薬の投与を受けた期間の中央値は 3.0 日(四分位範囲 2.0~6.0),RASS スコアの中央値は -2.0(四分位範囲 -3.0~-1.0)であった.デクスメデトミジンとプロポフォールとで,せん妄または昏睡なく生存した日数に差は認められず(補正後の中央値 10.7 日 対 10.8 日,オッズ比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.74~1.26),また,人工呼吸器非装着日数(補正後の中央値 23.7 日 対 24.0 日,オッズ比 0.98,95% CI 0.63~1.51),90 日死亡(38% 対 39%,ハザード比 1.06,95% CI 0.74~1.52),6 ヵ月時点での TICS-T スコア(補正後のスコアの中央値 40.9 対 41.4,オッズ比 0.94,95% CI 0.66~1.33)にも差は認められなかった.安全性評価項目は 2 群で同様であった.

結 論

敗血症で人工呼吸管理を受け,推奨されている浅い鎮静を目標に治療されていた成人において,デクスメデトミジンの投与を受けた患者の転帰と,プロポフォールの投与を受けた患者の転帰とで差は認められなかった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01739933)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1424 - 36. )