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January 21, 2021 Vol. 384 No. 3

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心血管疾患を有しない人に対するポリピルにアスピリンを併用した場合と併用しない場合との比較
Polypill with or without Aspirin in Persons without Cardiovascular Disease

S. Yusuf and Others

背景

心血管疾患リスクの低減には,スタチン,複数の降圧薬,アスピリンで構成されるポリピルの使用が提案されている.

方 法

2×2×2 要因デザインを用いて,心血管疾患を有さず,INTERHEART リスクスコアの高い参加者を,ポリピル(シンバスタチン 40 mg,アテノロール 100 mg,ヒドロクロロチアジド 25 mg,ラミプリル [ramipril] 10 mg を含有)またはプラセボの 1 日 1 回投与,アスピリン(75 mg)またはプラセボの 1 日 1 回投与,ビタミン D またはプラセボの月 1 回投与に無作為に割り付けた.今回はそれらの転帰を,ポリピル単独とマッチさせたプラセボとの比較,アスピリン単独とマッチさせたプラセボとの比較,ポリピル+アスピリンと両剤のプラセボとの比較で報告する.ポリピル単独の比較,およびポリピル+アスピリンの比較では,主要転帰は,心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中,蘇生された心停止,心不全,血行再建とした.アスピリンの比較では,主要転帰は,心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中とした.安全性も評価した.

結 果

5,713 例が無作為化され,平均追跡期間は 4.6 年であった.ポリピル群(ポリピル単独群とポリピル+アスピリン群)では,プラセボ群(アスピリン単独群とプラセボ 2 剤群)よりも低比重リポ蛋白コレステロール値が約 19 mg/dL 低く,収縮期血圧が約 5.8mmHg 低かった.ポリピルの比較では,主要転帰はポリピル群の 126 例(4.4%)とプラセボ群の 157 例(5.5%)に発生した(ハザード比 0.79,95%信頼区間 [CI] 0.63~1.00).アスピリンの比較では,主要転帰はアスピリン群(アスピリン単独群とポリピル+アスピリン群)の 116 例(4.1%)とプラセボ群(ポリピル単独群とプラセボ 2 剤群)の 134 例(4.7%)に発生した(ハザード比 0.86,95% CI 0.67~1.10).ポリピル+アスピリンの比較では,主要転帰はポリピル+アスピリン群の 59 例(4.1%)とプラセボ 2 剤群の 83 例(5.8%)に発生した(ハザード比 0.69,95% CI 0.50~0.97).低血圧またはめまいの発生率は,ポリピルの投与を受けた 2 群でそれぞれのプラセボ群よりも高かった.

結 論

心血管疾患を有さず,心血管リスクが中等度の参加者では,ポリピルとアスピリンの併用により,心血管イベントの発生率がプラセボと比較して低下した.(ウェルカムトラストほかから研究助成を受けた.TIPS-3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号NCT01646437)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 216 - 28. )