米国の成人における糖尿病の治療およびコントロールの 1999~2018 年の動向
Trends in Diabetes Treatment and Control in U.S. Adults, 1999–2018
M. Fang and Others
糖尿病の治療および危険因子のコントロールの現在の動向を記録することで,公衆衛生の政策・計画に有用な情報を提供できる可能性がある.
全米健康栄養調査(NHANES)に参加している米国の糖尿病成人のデータを横断的に解析し,1999~2018 年の糖尿病の治療および危険因子のコントロールの全国的な動向を評価した.
参加者の糖尿病コントロールは 1999 年から 2010 年代前半にかけて改善したが,その後鈍化し,悪化した.NHANES 参加者の糖尿病成人のうち,血糖コントロール(糖化ヘモグロビン値<7%)を達成した人の割合は,2007~10 年の 57.4%(95%信頼区間 [CI] 52.9~61.8)から,2015~18 年には 50.5%(95% CI 45.8~55.3)に低下した.脂質コントロール(非高比重リポ蛋白コレステロール値<130 mg/dL)は,2000 年代前半に大きく改善し,2007~10 年(52.3%,95% CI 49.2~55.3)から 2015~18 年(55.7%,95% CI 50.8~60.5)はわずかに改善した.血圧コントロール(<140/90 mmHg)を達成した人の割合は,2011~14 年の 74.2%(95% CI 70.7~77.4)から,2015~18 年には 70.4%(95% CI 66.7~73.8%)に低下した.3 項目の目標値すべてを同時に達成した人の割合は,2010 年を過ぎるとほぼ一定となり,2015~18 年は 22.2%(95% CI 17.9~27.3)であった.血糖降下薬使用者と降圧薬使用者の割合は,2010 年を過ぎると変化がなく,スタチン使用者の割合は 2014 年を過ぎるとほぼ一定となった.併用療法が行われいる人の割合は,2010 年を過ぎると血圧コントロール不良の参加者では減少し,血糖コントロール不良の参加者ではほぼ一定となった.
NHANES 参加者の糖尿病成人では,1999 年~2010 年代前半の 10 年強でコントロールが改善し,その後血糖コントロールと血圧コントロールは悪化したのに対し,脂質コントロールはほぼ一定であった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.)