January 28, 2021 Vol. 384 No. 4
生命維持治療中止後の心臓の活動再開
Resumption of Cardiac Activity after Withdrawal of Life-Sustaining Measures
S. Dhanani and Others
心臓が停止した死後から臓器移植までに必要とされる,脈が触知不能となってからの時間が最短でどの程度であるかは十分に研究されていない.
3 ヵ国の 20 の集中治療室で,生命維持治療を計画どおりに中止したのちに死亡した成人において,心臓の電気的活動および拍動の,再開率と再開のタイミングに関する前向き観察研究を行った.死亡判定後 30 分間,患者のモニタリングを行うこととした.ベッドサイドの医師が,心臓の活動再開を前向きに報告した.血圧と心電図(ECG)の波形を連続的に記録し,ベッドサイドでの観察結果を確認し,ほかに心臓の活動再開例があったかどうかを明らかにするため,後ろ向きに検討した.
1,999 例がスクリーニングされ,631 例が研究に組み入れられた.臨床的に報告された心臓の活動,呼吸運動,またはその両方について,波形解析で再開が確認された例は 5 例(1%)であった.480 例の ECG と血圧の波形の後ろ向き解析により,脈が触知不能となった後に心臓の活動再開が同定された例は 67 例(14%)あり,これにはベッドサイドの医師が報告した 5 例が含まれた.脈が触知不能となった後,心臓の活動が再開するまでの時間は最長で 4 分 20 秒であった.19%で,最後の QRS 波発生は最後の動脈拍動と一致していた.
生命維持治療中止後に脈が触知不能となってから少なくとも 1 サイクルの心臓活動の一過性の再開は,波形の後ろ向き解析によると 14%で発生した.このような再開例のうちベッドサイドで同定された例はわずか 1%であった.これらのイベントは脈が触知不能となってから 4 分 20 秒以内に発生した.(カナダ国立保健研究機構ほかから研究助成を受けた.)