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February 4, 2021 Vol. 384 No. 5

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SARS-CoV-2 ワクチン mRNA-1273 の有効性と安全性
Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine

L.R. Baden and Others

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を予防し,合併症のリスクが高い人を守るためにワクチンが必要である.mRNA-1273 は,Covid-19 を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の,膜融合前の状態で安定化させた全長スパイク蛋白をコードする,脂質ナノ粒子に内包された mRNA を用いたワクチンである.

方 法

第 3 相無作為化観察者盲検プラセボ対照試験を米国内の 99 施設で行った.SARS-CoV-2 感染またはその合併症のリスクが高い人を,mRNA-1273(100 mg)を 28 日間隔で 2 回筋肉内注射する群とプラセボを投与する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,SARS-CoV-2 感染の既往のない参加者における,2 回目の注射後 14 日目以降に発症する Covid-19 の予防とした.

結 果

30,420 例のボランティアが登録され,ワクチンまたはプラセボの投与に 1:1 の割合で無作為に割り付けられた(各群 15,210 例).参加者の 96%超が 2 回の注射を受け,2.2%にベースライン時に SARS-CoV-2 感染所見(血清学的またはウイルス学的,あるいはその両方)が認められた.症状を伴う Covid-19 はプラセボ群の 185 例(1,000 人年あたり 56.5 例,95%信頼区間 [CI] 48.7~65.3),mRNA-1273 群の 11 例(1,000 人年あたり 3.3 例,95% CI 1.7~6.0)で確認され,ワクチンの有効率は 94.1%(95% CI 89.3~96.8%)であった(P<0.001).この有効率は,初回接種後 14 日目の評価や,ベースライン時に SARS-CoV-2 感染所見が認められた参加者を含めた解析,65 歳以上の参加者を対象とした解析などの重要な副次的解析においても同程度であった.30 例が重症 Covid-19 を発症し,うち 1 例が死亡した.この 30 例はすべてプラセボ群であった.ワクチン接種後,中等度の一過性の副反応が mRNA-1273 群でより多く生じた.重篤な有害事象はまれであり,発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

mRNA-1273 ワクチンは,重症 Covid-19 を含む Covid-19 の予防に 94.1%の有効率を示した.一過性の局所反応と全身反応を除き,安全性に関する懸念は認められなかった.(生物医学先端研究開発局,米国国立アレルギー・感染症研究所から研究助成を受けた.COVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04470427)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 403 - 16. )