October 28, 2021 Vol. 385 No. 18
中等症~重症喘息患者に対するイテペキマブの有効性と安全性
Efficacy and Safety of Itepekimab in Patients with Moderate-to-Severe Asthma
M.E. Wechsler and Others
2 型炎症による重症喘息の治療には,IgE,インターロイキン-4 とインターロイキン-13,インターロイキン-5 を標的とするモノクローナル抗体が有効であるが,新たな標的が必要である.イテペキマブ(itepekimab)は,上流のアラーミン(損傷細胞から産生される,炎症を活性化する分子)であるインターロイキン-33 に対する新しいモノクローナル抗体である.喘息患者に対する単剤療法として,またデュピルマブとの併用療法としての有効性と安全性は明らかにされていない.
第 2 相試験で,吸入ステロイド(グルココルチコイド)+長時間作用性β刺激薬(LABA)の投与を受けている中等症~重症喘息の成人を,イテペキマブ(用量 300 mg)群,イテペキマブ+デュピルマブ(いずれも 300 mg,併用療法)群,デュピルマブ(300 mg)群,プラセボ群に 1:1:1:1 の割合で無作為に割り付け,2 週ごとに 12 週間皮下投与した.無作為化後 4 週目に LABA を中止し,6 週目から 9 週目にかけて吸入ステロイドを漸減した.主要エンドポイントは喘息コントロール喪失を示すイベントとし,イテペキマブ群と併用療法群をプラセボ群と比較検討した.副次的エンドポイントとその他のエンドポイントは,肺機能,喘息コントロール,QOL,2 型炎症のバイオマーカー,安全性などとした.
296 例が無作為化された.12 週目までに,喘息コントロール喪失を示すイベントはイテペキマブ群の 22%,併用療法群の 27%,デュピルマブ群の 19%で発生したのに対し,プラセボ群では 41%であった.プラセボ群と比較したオッズ比は,イテペキマブ群 0.42(95%信頼区間 [CI] 0.20~0.88,P=0.02),併用療法群 0.52(95% CI 0.26~1.06,P=0.07),デュピルマブ群 0.33(95% CI 0.15~0.70)であった.気管支拡張薬投与前の 1 秒量は,プラセボとの比較で,イテペキマブ単剤療法とデュピルマブ単剤療法では増加したが,併用療法では増加しなかった.イテペキマブの投与によって,プラセボと比較して喘息コントロールと QOL が改善し,平均血中好酸球数が大幅に減少した.有害事象の発現率は 4 群で同程度であった.
中等症~重症喘息患者において,イテペキマブによるインターロイキン-33 の遮断は,喘息コントロール喪失を示すイベントの発生率がプラセボよりも低くなり,肺機能が改善した.(サノフィ社,リジェネロン ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03387852)