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November 11, 2021 Vol. 385 No. 20

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脳梗塞に対する血管内治療前のアルテプラーゼ静注の無作為化試験
A Randomized Trial of Intravenous Alteplase before Endovascular Treatment for Stroke

N.E. LeCouffe and Others

背景

急性期脳梗塞に対する血管内治療(EVT)前のアルテプラーゼ静注の有用性の研究は,とくに非アジア人集団では十分に行われていない.

方 法

欧州で,脳梗塞に対して EVT が施行可能な病院を直接受診し,アルテプラーゼ静注と EVT に適格であった患者において,非盲検多施設共同無作為化試験を行った.患者を,EVT のみを行う群と,アルテプラーゼ静注後に EVT を行う(標準治療)群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,90 日の時点における修正 Rankin スケール(0 [障害なし]~6 [死亡])で評価した機能的転帰とした.EVT 単独のアルテプラーゼ+EVT に対する優越性と非劣性を評価し,2 群のオッズ比の 95%信頼区間下限 0.8 を非劣性マージンとした.全死因死亡と症候性脳出血を主な安全性エンドポイントとした.

結 果

539 例を解析対象とした.90 日の時点における修正 Rankin スケールのスコアの中央値は,EVT 単独群では 3(四分位範囲 2~5),アルテプラーゼ+EVT 群では 2(四分位範囲 2~5)であった.補正共通オッズ比は 0.84(95%信頼区間 [CI] 0.62~1.15,P=0.28)であり,EVT 単独の優越性も非劣性も示されなかった.死亡率は EVT 単独群では 20.5%,アルテプラーゼ+EVT 群では 15.8%であった(補正オッズ比 1.39,95% CI 0.84~2.30).症候性脳出血はそれぞれ 5.9%と 5.3%に発生した(補正オッズ比 1.30,95% CI 0.60~2.81).

結 論

欧州人の患者で行われた無作為化試験で,EVT 単独は,脳梗塞発症後 90 日の時点における障害の転帰に関して,アルテプラーゼ静注後に行う EVT に対して優越性も非劣性も示さなかった.症候性脳出血の発生率は 2 群で同程度であった.(急性期脳梗塞の新規治療に関する共同研究コンソーシアムほかから研究助成を受けた.MR CLEAN–NO IV 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN80619088)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1833 - 44. )