December 30, 2021 Vol. 385 No. 27
保存期腎不全患者の高血圧に対するクロルタリドン
Chlorthalidone for Hypertension in Advanced Chronic Kidney Disease
R. Agarwal and Others
保存期腎不全(advanced chronic kidney disease)患者の高血圧治療におけるサイアザイド利尿薬の使用を支持するのに利用できるエビデンスはほとんどない.
ステージ 4 の慢性腎臓病を有し,24 時間自由行動下血圧モニタリングでコントロール不良の高血圧が確認された患者を,クロルタリドン(chlorthalidone)を初回用量 12.5 mg/日とし,必要に応じて 4 週ごとに最大 50 mg/日まで増量する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.無作為化は,ループ利尿薬の使用歴で層別化して行った.主要転帰は 24 時間自由行動下収縮期血圧のベースラインから 12 週目までの変化量とした.副次的転帰は,尿中アルブミン/クレアチニン比,脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フラグメント(NT-proBNP)値,血漿中レニン値およびアルドステロン値,総体液量の,ベースラインから 12 週目までの変化量とした.安全性についても評価した.
160 例が無作為化され,うち 121 例(76%)が糖尿病を有し,96 例(60%)がループ利尿薬の投与を受けていた.ベースラインで,推算糸球体濾過量の平均(±SD)は 23.2±4.2 mL/分/1.73 m2 体表面積であり,降圧薬処方数の平均は 3.4±1.4 であった.無作為化時の 24 時間自由行動下収縮期血圧の平均はクロルタリドン群 142.6±8.1 mmHg,プラセボ群 140.1±8.1 mmHg であり,拡張期血圧の平均はそれぞれ 74.6±10.1 mmHg,72.8±9.3 mmHg であった.24 時間収縮期血圧のベースラインから 12 週目までの補正変化量は,クロルタリドン群 -11.0 mmHg(95%信頼区間 [CI] -13.9~-8.1),プラセボ群 -0.5 mmHg(95% CI -3.5~2.5)であった.群間差は -10.5 mmHg(95% CI -14.6~-6.4)であった(P<0.001).尿中アルブミン/クレアチニン比のベースラインから 12 週目までの変化率は,クロルタリドン群のほうがプラセボ群よりも 50 パーセントポイント(95% CI 37~60)低かった.低カリウム血症,血清クレアチニン値の可逆的上昇,高血糖,めまい,高尿酸血症の発生頻度は,クロルタリドン群のほうがプラセボ群よりも高かった.
コントロール不良の高血圧を有する保存期腎不全患者では,クロルタリドン療法によって,12 週の時点での血圧コントロールがプラセボよりも改善した.(米国国立心臓・肺・血液研究所,インディアナ医療研究機構から研究助成を受けた.CLICK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02841280)