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December 30, 2021 Vol. 385 No. 27

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院外心停止後 ST 上昇を認めない患者に対する血管造影
Angiography after Out-of-Hospital Cardiac Arrest without ST-Segment Elevation

S. Desch and Others

背景

心筋梗塞は院外心停止の原因として多い.しかし,蘇生後の心電図で ST 上昇を認めない患者に対する,早期の冠動脈造影と血行再建の利益は明らかにされていない.

方 法

多施設共同試験で,冠動脈に起因する可能性のある院外心停止からの蘇生に成功した患者 554 例を,冠動脈造影を即時に行う群(即時冠動脈造影群)と,初期集中治療評価と待期的または選択的冠動脈造影を行う群(待期的冠動脈造影群)に無作為に割り付けた.いずれの患者にも,蘇生後の心電図に ST 上昇を認めなかった.主要エンドポイントは 30 日の時点での全死因死亡とした.副次的エンドポイントは,30 日の時点での全死因死亡と重度神経障害の複合などとした.

結 果

554 例中 530 例(95.7%)が主要解析の対象となった.30 日の時点で,即時冠動脈造影群の 265 例中 143 例(54.0%)と待期的冠動脈造影群の 265 例中 122 例(46.0%)が死亡していた(ハザード比 1.28,95%信頼区間 [CI] 1.00~1.63,P=0.06).死亡と重度神経障害の複合エンドポイントの発生頻度は,即時冠動脈造影群(255 例中 164 例 [64.3%])のほうが待期的冠動脈造影群(248 例中 138 例 [55.6%])よりも高く,相対リスクは 1.16(95% CI 1.00~1.34)であった.トロポニン遊出量の最高値と,中等度または重度の出血,脳卒中,腎代替療法の発生率は,2 群で同程度であった.

結 論

院外心停止から蘇生し,ST 上昇を認めない患者において,冠動脈造影を即時に行う戦略は,30 日の時点での全死因死亡のリスクに関して,冠動脈造影を待期的または選択的に行う戦略を上回る利益をもたらさなかった.(ドイツ心臓血管研究センターから研究助成を受けた.TOMAHAWK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02750462)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 2544 - 53. )