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August 26, 2021 Vol. 385 No. 9

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マラリア予防のためのモノクローナル抗体
A Monoclonal Antibody for Malaria Prevention

M.R. Gaudinski and Others

背景

マラリアによる合併症と死亡を減らすためには,さらなる介入法が必要である.

方 法

半減期を延長させた抗マラリアモノクローナル抗体 CIS43LS の安全性と薬物動態,および熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)感染に対する有効性を評価するため,2 部構成の第 1 相臨床試験を行った.パート A では,マラリア感染歴のない健康な成人を対象として CIS43LS の安全性,初期の副作用プロファイル,薬物動態を評価した.参加者に,漸増法で CIS43LS の 3 用量のいずれかの皮下投与または静脈内投与を行った.パート B には,パート A の参加者のサブグループが継続して参加し,一部は 2 回目の CIS43LS 注入を受けた.また,パート B には新たな参加者を登録し,CIS43LS の静脈内投与を行った.CIS43LS の防御効果を評価するため,一部の参加者にコントロール下でのヒトマラリア感染試験を行った.感染試験では,CIS43LS 投与後 4~36 週の時点で,熱帯熱マラリア原虫スポロゾイトを保有する蚊に参加者を曝露させた.

結 果

パート A・B 合わせて 25 例が,5 mg/kg 体重,20 mg/kg,40 mg/kg のいずれかの用量で CIS43LS の投与を受け,25 例中4 例が 2 回目の投与を受けた(初回用量にかかわらず 20 mg/kg).安全性の懸念は認められなかった.CIS43LS 血清濃度は用量依存的な増加が認められ,半減期は 56 日であった.コントロール下でのヒトマラリア感染試験を行った参加者のうち,CIS43LS の投与を受けた 9 例では,21 日間ポリメラーゼ連鎖反応検査で寄生虫血症が認められた参加者がいなかったのに対し,投与を受けなかった対照 6 例では 5 例に認められた.CIS43LS 40 mg/kg の投与を受け,約 36 週間後にコントロール下でヒトマラリア感染試験を受けた 2 例では,寄生虫血症は認められず,その時点での CIS43LS 血清濃度はそれぞれ 46 mg/mL と 57 mg/mL であった.

結 論

マラリア感染歴およびワクチン接種歴のない成人において,長期作用型モノクローナル抗体 CIS43LS の投与により,コントロール下の感染試験でのマラリアが予防された.(米国国立アレルギー・感染症研究所から研究助成を受けた.VRC 612 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04206332)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 803 - 14. )