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January 13, 2022 Vol. 386 No. 2

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ニューヨーク州における Covid-19 ワクチンの有効性
Covid-19 Vaccine Effectiveness in New York State

E.S. Rosenberg and Others

背景

米国食品医薬品局(FDA)が現在承認している 3 つの新型コロナウイルス感染症(Covid-19)ワクチンの有効性に関して,米国の住民ベースのデータは限られている.有効性の低下が免疫の減衰によるものなのか,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の B.1.617.2 変異株(デルタ株)によるものなのか,その他の原因によるものなのかは明らかにされていない.

方 法

ニューヨーク州の成人 8,690,825 人のデータを用いて,BNT162b2 ワクチン,mRNA-1273 ワクチン,Ad26.COV2.S ワクチンの,検査で確認された Covid-19 に対する有効性と,Covid-19 による入院(入院時または入院後に診断された Covid-19)に対する有効性を評価した.州全体の検査,病院,ワクチン登録のデータベースをリンクさせて,接種した製品,年齢,接種完了月で定義したコホートを,年齢別のワクチン未接種コホートと比較した.2021 年 5 月 1 日~9 月 3 日の Covid-19 に対する有効性と,2021 年 5 月 1 日~8 月 31 日の Covid-19 による入院に対する有効性を評価した.

結 果

Covid-19 症例は 150,865 例,Covid-19 による入院は 14,477 件あった.2021 年 5 月 1 日の週は,流行している変異株にデルタ株が占める割合が 1.8%であり,Covid-19 に対するワクチン有効率の中央値は BNT162b2 ワクチンで 91.3%(範囲 84.1~97.0),mRNA-1273 ワクチンで 96.9%(範囲 93.7~98.0),Ad26.COV2.S ワクチンで 86.6%(範囲 77.8~89.7)であった.その後有効率は全コホートで同時に低下し,全体における中央値は,5 月 1 日の週の 93.4%(範囲 77.8~98.0)から,デルタ株の割合が 85.3%であった 7 月 10 日頃には最下点の 73.5%(範囲 13.8~90.0)に低下した.デルタ株の割合が 99.6%であった 8 月 28 日の週には,有効率は 74.2%(範囲 63.4~86.8)となった.Covid-19 による入院に対する有効率は,18~64 歳の成人ではほぼ 86%超で持続し,明らかな経時的傾向は認められなかった.65 歳以上の,BNT162b2 ワクチンの接種者と mRNA-1273 ワクチンの接種者では,有効率は 5 月から 8 月にかけて低下した(それぞれ 94.8%から 88.6%,97.1%から 93.7%に低下).Ad26.COV2.S ワクチンの有効性は他の 2 つに比べて低く,経時的傾向は認められなかった(範囲 80.0~90.6%).

結 論

3 つのワクチンの Covid-19 に対する有効性は,デルタ株が優勢になった後に低下した.入院に対する有効性は高いまま持続し,65 歳以上の,BNT162b2 ワクチンまたは mRNA-1273 ワクチンの接種者においてのみわずかに低下した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 116 - 27. )