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March 31, 2022 Vol. 386 No. 13

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女性の腹圧性尿失禁に対する単一切開ミニスリング手術
Single-Incision Mini-Slings for Stress Urinary Incontinence in Women

M. Abdel-Fattah and Others

背景

女性の腹圧性尿失禁に対する保存的治療が失敗した場合には,人工中部尿道スリング(メッシュまたはテープ製)手術が,最近まで標準的な外科治療として世界中で行われていた.新しい単一切開ミニスリング手術の有効性と安全性を,標準的な中部尿道スリング手術と比較したデータは限られている.

方 法

英国の 21 病院の女性患者を対象に,ミニスリング手術と中部尿道スリング手術とを,36 ヵ月の追跡期間中に比較する実用的無作為化非劣性試験を行った.主要転帰は,無作為化後 15 ヵ月(術後約 1 年)の時点での,患者報告による治療成功(「患者による改善に関する包括印象度 [PGI-I]」質問票での回答が「非常に大きく改善」または「大きく改善」と定義)とした.非劣性マージンは 10 パーセントポイントとした.

結 果

298 例がミニスリング手術を受ける群に,298 例が中部尿道スリング手術を受ける群に割り付けられた.15 ヵ月の時点で,治療成功はミニスリング群の 268 例中 212 例(79.1%)と,中部尿道スリング群の 250 例中 189 例(75.6%)で報告された(補正リスク差 4.6 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -2.7~11.8,非劣性の P<0.001).追跡期間 36 ヵ月の時点で,治療成功はミニスリング群の 246 例中 177 例(72.0%)と,中部尿道スリング群の 235 例中 157 例(66.8%)で報告された(補正リスク差 5.7 パーセントポイント,95%CI -1.3~12.8).36 ヵ月の時点で,鼠径部痛または大腿部痛を訴えた患者の割合は,ミニスリング群では 14.1%,中部尿道スリング群では 14.9%であった.36 ヵ月の追跡期間中に,テープまたはメッシュが露出した患者の割合は,ミニスリング群では 3.3%,中部尿道スリング群では 1.9%であり,腹圧性尿失禁に対する追加手術を受けた患者の割合は,それぞれ 2.5%と 1.1%であった.QOL および性機能に関する転帰は,性交痛を除いて 2 群で同様であり,妥当性が確認されている質問票に回答した 290 例において,性交痛はミニスリング群の 11.7%と,中部尿道スリング群の 4.8%で報告された.

結 論

単一切開ミニスリング手術は,15 ヵ月の時点での患者報告による治療成功に関して,標準的な中部尿道スリング手術に対して非劣性を示し,追跡期間 36 ヵ月の時点でも,治療成功を報告した患者の割合は 2 群で同程度のままであった.(英国国立医療研究機構から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1230 - 43. )