The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 14, 2022 Vol. 386 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

高リスクの入院していない成人 Covid-19 患者に対する経口ニルマトレルビル
Oral Nirmatrelvir for High-Risk, Nonhospitalized Adults with Covid-19

J. Hammond and Others

背景

ニルマトレルビルは,経口投与可能な,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)メインプロテアーゼ(Mpro)阻害薬であり,in vitro で強力な抗汎ヒトコロナウイルス活性を示す.

方 法

第 2・3 相二重盲検無作為化比較試験で,症状を伴う新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に罹患した,重症化リスクの高い,ワクチン未接種で入院していない成人患者を,ニルマトレルビル 300 mg+リトナビル(薬物動態増強薬)100 mg を 12 時間ごとに 5 日間投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.28 日目までの Covid-19 関連入院または全死因死亡,ウイルス量,安全性を評価した.

結 果

2,246 例を無作為化し,1,120 例にニルマトレルビル+リトナビルを投与し(ニルマトレルビル群),1,126 例にプラセボを投与した(プラセボ群).事前に計画していた,症状発現後 3 日以内に投与を受けた患者(修正 intention-to-treat 集団,全解析対象集団 1,361 例中 774 例)の中間解析では,28 日目までの Covid-19 関連入院または死亡の発生率は,ニルマトレルビル群のほうがプラセボ群よりも 6.32 パーセントポイント低く(95%信頼区間 [CI] -9.04~-3.59,P<0.001,相対リスク減少率 89.1%),ニルマトレルビル群では 0.77%(389 例中 3 例)で死亡 0 例,プラセボ群では 7.01%(385 例中 27 例)で死亡 7 例であった.修正 intention-to-treat 集団 1,379 例の最終解析においても有効性は維持され,差は -5.81 パーセントポイント(95% CI -7.78~-3.84,P<0.001,相対リスク減少率 88.9%)であった.死亡した 13 例はすべてプラセボ群であった.ウイルス量は,投与 5 日目の時点でニルマトレルビル+リトナビル群のほうがプラセボ群よりも低く,投与が症状発現後 3 日以内に開始された場合,差の補正後の平均値は -0.868 log10 コピー/mL であった.投与期間中の有害事象の発現率は 2 群で同程度であった(すべての有害事象:ニルマトレルビル+リトナビル群 22.6% 対 プラセボ群 23.9%,重篤な有害事象:1.6% 対 6.6%,ニルマトレルビル+リトナビルまたはプラセボの中止にいたった有害事象:2.1% 対 4.2%).ニルマトレルビル+リトナビル群では,プラセボ群よりも味覚異常(5.6% 対 0.3%)と下痢(3.1% 対 1.6%)の頻度が高かった.

結 論

症状を伴う Covid-19 患者に対するニルマトレルビル+リトナビル投与により,プラセボ投与と比較して重症化リスクは 89%低くなり,明らかな安全性の懸念は認められなかった.(ファイザー社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04960202)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1397 - 408. )