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April 14, 2022 Vol. 386 No. 15

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ピルビン酸キナーゼ欠乏症に対するミタピバットとプラセボとの比較
Mitapivat versus Placebo for Pyruvate Kinase Deficiency

H. Al-Samkari and Others

背景

ピルビン酸キナーゼ欠乏症はまれな遺伝性の慢性疾患であり,溶血性貧血を伴う.ミタピバット(mitapivat)は,赤血球のピルビン酸キナーゼを活性化させるファーストインクラスの経口薬であり,第 2 相試験ではピルビン酸キナーゼ欠乏症患者のヘモグロビン値を上昇させた.

方 法

国際共同第 3 相無作為化プラセボ対照試験で,定期的な赤血球輸血を受けていないピルビン酸キナーゼ欠乏症の成人における,ミタピバットの有効性と安全性を評価した.患者を,ミタピバット(5 mg 1 日 2 回から開始し,20 mg または 50 mg 1 日 2 回まで漸増可能)を 24 週間投与する群と,プラセボを投与する群に割り付けた.主要エンドポイントは,16 週,20 週,24 週に予定した評価で,ヘモグロビン値の反応(ヘモグロビン値のベースラインから 1.5 g/dL 以上の上昇)の持続が 2 回以上認められることとした.副次的有効性エンドポイントは,ヘモグロビン値,溶血マーカー,造血マーカーのベースラインからの変化量の平均値と,24 週の時点での,ピルビン酸キナーゼ欠乏症に特異的な 2 つの患者報告アウトカム指標のベースラインからの変化量とした.

結 果

ヘモグロビン値の反応は,ミタピバット群では 40 例中 16 例(40%)に認められたのに対し,プラセボ群の 40 例では認められなかった(補正後の差 39.3 パーセントポイント,95%信頼区間 24.1~54.6,両側 P<0.001).ヘモグロビン値のベースラインからの変化量の平均値など,各副次的エンドポイントに関して,ミタピバットの投与を受けた患者のほうがプラセボの投与を受けた患者よりも効果が大きかった.とくに頻度の高かった有害事象は,悪心(ミタピバット群 7 例 [18%],プラセボ群 9 例 [23%])と頭痛(それぞれ 6例 [15%],13 例 [33%])であった.グレード 3 以上の有害事象は,ミタピバット群の 10 例(25%)とプラセボ群の 5 例(13%)に発現した.

結 論

ピルビン酸キナーゼ欠乏症患者に対するミタピバットの投与により,ヘモグロビン値が有意に上昇し,溶血が抑制され,患者報告アウトカムが改善した.ミタピバットの投与を受けた患者で新たな安全性シグナルは確認されなかった.(アジオス ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ACTIVATE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03548220)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1432 - 42. )