April 21, 2022 Vol. 386 No. 16
喘息を有する黒人およびラテン系の成人に対する発作治療薬としての吸入ステロイド
Reliever-Triggered Inhaled Glucocorticoid in Black and Latinx Adults with Asthma
E. Israel and Others
黒人およびラテン系の喘息患者では,疾病負荷が不均衡に高い.症状・発作の発生率を抑える取組みの多くは成功しておらず,ガイドラインの推奨はこれらの集団を対象とした試験に基づくものではない.
実用的非盲検試験で,中等症~重症の喘息を有する黒人およびラテン系の成人を,通常治療に加えて,吸入ステロイド(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル 80 mg)の使用方法を患者に説明し,発作治療薬として使用する群(介入群)と,通常治療を継続する群に無作為に割り付けた.参加者は使用方法の説明を受けるために1 回受診し,その後は月 1 回の質問票への回答を 15 回行った.主要エンドポイントは重度の喘息増悪の年間発生率とした.副次的エンドポイントは,喘息コントロールテスト(ACT;スコア範囲は 5 [不良]~25 [完全コントロール])で評価した 1 ヵ月間の喘息コントロール,喘息症状効用指標(ASUI;0~1 で,スコアが低いほど障害が大きいことを示す)で評価した QOL,参加者が報告した職場,学校,日常活動の欠席日数などとした.安全性も評価した.
1,201 例(黒人 603 例,ラテン系 598 例)のうち,600 例が介入群,601 例が通常治療群に割り付けられた.重度の喘息増悪の年間発生率は,介入群で 0.69(95%信頼区間 [CI] 0.61~0.78),通常治療群で 0.82(95% CI 0.73~0.92)であった(ハザード比 0.85,95% CI 0.72~0.999,P=0.048).ACT スコアは介入群で 3.4 ポイント(95% CI 3.1~3.6)上昇し,通常治療群で 2.5 ポイント(95% CI 2.3~2.8)上昇し(差 0.9,95% CI 0.5~1.2),ASUI スコアはそれぞれ 0.12 ポイント(95% CI 0.11~0.13)と 0.08 ポイント(95% CI 0.07~0.09)上昇した(差 0.04,95% CI 0.02~0.05).年間の欠席日数は,介入群で 13.4,通常治療群で 16.8 であった(率比 0.80,95% CI 0.67~0.95).重篤な有害事象は参加者の 12.2%に発現し,群間で均等に分布していた.
中等症~重症の喘息を有する黒人およびラテン系の成人において,通常治療に加え,吸入ステロイドを提供しその使用法の指導を 1 回行うことで,重度の喘息増悪の発生率が低下した.(患者中心アウトカム研究所ほかから研究助成を受けた.PREPARE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02995733)