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May 26, 2022 Vol. 386 No. 21

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切除可能な肺癌に対するニボルマブと化学療法の併用による術前補助療法
Neoadjuvant Nivolumab plus Chemotherapy in Resectable Lung Cancer

P.M. Forde and Others

背景

切除可能な非小細胞肺癌(NSCLC)の術前または術後に補助療法を行っても,手術単独をわずかに上回る利益しか得られない.ニボルマブベースの術前補助療法レジメンは,初期の試験で有望な臨床活性を示しているが,その知見を確認するためには第 3 相試験のデータが必要である.

方 法

非盲検第 3 相試験で,IB~IIIA 期の切除可能な NSCLC 患者を,ニボルマブ+白金製剤ベースの化学療法を行う群と,白金製剤ベースの化学療法のみを行う群に無作為に割り付け,その後切除術を行った.主要エンドポイントは,無イベント生存期間と病理学的完全奏効(切除した肺とリンパ節に残存する生存腫瘍細胞が 0%)とし,いずれも独立判定委員会が盲検下で評価した.全生存期間を主な副次的エンドポイントとした.割り付けられた治療を受けた全例の安全性を評価した.

結 果

無イベント生存期間の中央値は,ニボルマブ+化学療法群で 31.6 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 30.2~未到達),化学療法単独群で 20.8 ヵ月(95% CI 14.0~26.7)であった(病勢進行・再発・死亡のハザード比 0.63,97.38% CI 0.43~0.91,P=0.005).病理学的完全奏効割合はそれぞれ 24.0%(95% CI 18.0~31.0),2.2%(95% CI 0.6~5.6)であった(オッズ比 13.94,99% CI 3.49~55.75,P<0.001).大部分のサブグループで,無イベント生存期間と病理学的完全奏効の結果は,ニボルマブ+化学療法群のほうが化学療法単独群よりも良好であった.事前に規定した最初の中間解析では,死亡のハザード比は 0.57(99.67% CI 0.30~1.07)であり,有意性の基準を満たさなかった.無作為化された患者のうち,ニボルマブ+化学療法群の 83.2%と化学療法単独群の 75.4%が手術を受けた.グレード 3 または 4 の治療関連有害事象の発現率は,ニボルマブ+化学療法群で 33.5%,化学療法単独群で 36.9%であった.

結 論

切除可能な NSCLC 患者で,ニボルマブ+化学療法ベースの術前補助療法により,化学療法単独と比較して,無イベント生存期間は有意に延長し,病理学的完全奏効割合は有意に増加した.術前補助療法へのニボルマブの追加により,有害事象の発現率が上昇することはなく,手術の実施可能性が妨げられることもなかった.(ブリストル・マイヤーズ スクイブ社から研究助成を受けた.CheckMate 816 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02998528)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1973 - 85. )