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June 16, 2022 Vol. 386 No. 24

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肛門癌を予防するための肛門高度扁平上皮内病変の治療
Treatment of Anal High-Grade Squamous Intraepithelial Lesions to Prevent Anal Cancer

J.M. Palefsky and Others

背景

肛門癌の発生率は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者のほうが一般集団よりも大幅に高い.子宮頸癌と同様に,肛門癌では高度扁平上皮内病変(HSIL)が先行する.子宮頸部 HSIL を治療することで子宮頸癌への進展は抑制される.しかし,肛門癌を予防するための肛門 HSIL の治療に関する前向き試験のデータは不足している.

方 法

米国の 25 施設で第 3 相試験を行った.35 歳以上で,肛門 HSIL が生検で確認された HIV 感染者を,HSIL を治療する群と,治療せずに積極的モニタリングを行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.治療は,外来でのアブレーション手技,麻酔下のアブレーションまたは切除,フルオロウラシルまたはイミキモドの外用などとした.主要転帰は,生存時間(time-to-event)解析における肛門癌への進展とした.治療群の参加者は,HSIL が完全に消失するまで治療を受けた.全例で高解像度肛門鏡検査を少なくとも 6 ヵ月ごとに行い,生検も,治療群では HSIL の持続が疑われた場合,積極的モニタリング群では年 1 回行い,癌の懸念があればその時点で行った.

結 果

無作為化された 4,459 例のうち,4,446 例(99.7%)で癌に進展するまでの期間を解析した.追跡期間の中央値は 25.8 ヵ月であり,肛門癌が診断されたのは,治療群の 9 例(100,000 人年あたり 173,95%信頼区間 [CI] 90~332)と,積極的モニタリング群の 21 例(100,000 人年あたり 402,95% CI 262~616)であった.肛門癌への進展率は,治療群のほうが積極的モニタリング群よりも 57%低かった(95% CI 6~80,log-rank 検定で P=0.03).

結 論

肛門 HSIL が生検で確認された参加者において,肛門癌のリスクは,肛門 HSIL を治療した場合のほうが,積極的モニタリングを行った場合よりも有意に低かった.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02135419)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 2273 - 82. )