ICU 在室中の敗血症性ショック患者に対する静脈内輸液の制限
Restriction of Intravenous Fluid in ICU Patients with Septic Shock
T.S. Meyhoff and Others
静脈内輸液は,敗血症性ショックをきたした患者の治療に推奨されているが,集中治療室(ICU)在室中の患者では,輸液量が多いほど害と関連することが示されている.
国際共同無作為化試験において,すでに 1 L 以上の静脈内輸液を受けた ICU 在室中の敗血症性ショック患者を,制限的静脈内輸液療法を行う群と,標準的静脈内輸液療法を行う群に割り付けた.スクリーニング前の 12 時間以内にショックを発症した患者を対象とした.主要転帰は無作為化後 90 日以内の全死因死亡とした.
1,554 例が登録され,770 例が制限輸液群,784 例が標準輸液群に割り付けられた.1,545 例(99.4%)で主要転帰のデータが得られた.ICU 内で,制限輸液群では中央値で 1,798 mL(四分位範囲 500~4,366),標準輸液群では 3,811 mL(四分位範囲 1,861~6,762)の静脈内輸液を受けた.90 日の時点で,制限輸液群の 764 例中 323 例(42.3%)と,標準輸液群の 781 例中 329 例(42.1%)が死亡していた(補正後の絶対差 0.1 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -4.7~4.9,P=0.96).ICU 在室中に重篤な有害事象が 1 回以上発現した患者は,制限輸液群では 751 例中 221 例(29.4%),標準輸液群では 772 例中 238 例(30.8%)であった(補正後の絶対差 -1.7 パーセントポイント,99% CI -7.7~4.3).無作為化後 90 日の時点で,生命維持装置なしでの生存日数と院外での生存日数は,2 群で同程度であった.
ICU 在室中の敗血症性ショックの成人患者に対して,制限的静脈内輸液療法を行った場合,標準的静脈内輸液療法を行った場合と比較して,90 日時点での死亡が減少することはなかった.(ノボ ノルディスク財団ほかから研究助成を受けた.CLASSIC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03668236)