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February 17, 2022 Vol. 386 No. 7

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中悪性度 B 細胞リンパ腫に対する二次治療としてのチサゲンレクルユーセルと標準治療との比較
Second-Line Tisagenlecleucel or Standard Care in Aggressive B-Cell Lymphoma

M.R. Bishop and Others

背景

一次治療に抵抗性を示したか,一次治療後 12 ヵ月以内に再発した中悪性度 B 細胞非ホジキンリンパ腫患者の転帰は不良である.チサゲンレクルユーセル(tisagenlecleucel)は,びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の二次治療以降の治療として承認されている,抗 CD19 キメラ抗原受容体 T 細胞療法である.

方 法

一次治療に抵抗性を示したか,一次治療後 12 ヵ月以内に再発した中悪性度リンパ腫患者を対象に国際共同第 3 相試験を行った.患者を,任意のブリッジング療法とチサゲンレクルユーセル投与を行う群(チサゲンレクルユーセル群)と,サルベージ化学療法と自家造血幹細胞移植(HSCT)を行う群(標準治療群)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無イベント生存期間とし,無作為化から,12 週の評価時点以降における安定もしくは病勢進行までの期間,または死亡までの期間と定義した.標準治療群で規定したイベントが 12 週の評価時点以降に発生した場合は,チサゲンレクルユーセルへのクロスオーバーを可能とした.その他のエンドポイントは奏効,安全性などとした.

結 果

322 例が無作為化を受けた.ベースライン時に,チサゲンレクルユーセル群では高悪性度リンパ腫を有する患者の割合が標準治療群よりも高く(24.1% 対 16.9%),国際予後指標(IPI)スコア(範囲は 0~5 で,高いほど予後が不良であることを示す)が 2 以上である患者の割合も高かった(65.4% 対 57.5%).チサゲンレクルユーセル群では患者の 95.7%がチサゲンレクルユーセルの投与を受け,標準治療群では 32.5%が自家 HSCT を受けた.白血球アフェレーシスからチサゲンレクルユーセルの注入までの期間の中央値は 52 日であった.6 週の時点で,チサゲンレクルユーセル群の 25.9%にリンパ腫の進行が認められたのに対し,標準治療群では 13.8%であった.無イベント生存期間の中央値は両群ともに 3.0 ヵ月であった(チサゲンレクルユーセル群のイベントまたは死亡のハザード比 1.07,95%信頼区間 0.82~1.40,P=0.61).奏効割合はチサゲンレクルユーセル群 46.3%,標準治療群 42.5%であった.チサゲンレクルユーセル群の 10 例と標準治療群の 13 例が有害事象により死亡した.

結 論

今回の試験で,チサゲンレクルユーセルは標準治療であるサルベージ療法よりも優れていなかった.各治療法から最大の利益を得る可能性があるのはどのような患者かを検討するために,さらに試験を行う必要がある.(ノバルティス社から研究助成を受けた.BELINDA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03570892)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 629 - 39. )