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February 17, 2022 Vol. 386 No. 7

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RS ウイルス阻害薬 EDP-938 のヒトウイルス感染試験における検討
EDP-938, a Respiratory Syncytial Virus Inhibitor, in a Human Virus Challenge

A. Ahmad and Others

背景

RS ウイルス(RSV)感染は,乳児,高齢者,免疫抑制状態の成人に,顕著な疾患と死亡を引き起こす.EDP-938 は RSV の非融合複製阻害薬であり,ウイルスの核蛋白質を修飾することによって作用する.

方 法

2 部構成の第 2a 相無作為化二重盲検プラセボ対照ウイルス感染試験で,RSV-A Memphis 37b を接種されていた参加者を,EDP-938 を投与する群とプラセボを投与する群に割り付けた.異なる用量の EDP-938 を評価した.評価のため,鼻洗浄液標本を 2 日目から 12 日目まで採取した.臨床症状は参加者が評価し,薬物動態プロファイルを評価した.主要エンドポイントは RSV ウイルス量の曲線下面積(AUC)とし,定量的逆転写 PCR 法で測定した.主な副次的エンドポイントは総症状スコアの AUC とした.

結 果

試験の第 1 部では 115 例が,EDP-938(600 mg 1 日 1 回 [600 mg 1 日 1 回群],または負荷用量 500 mg 後に 300 mg 1 日 2 回 [300 mg 1 日 2 回群])を投与する群とプラセボを投与する群に割り付けられた.第 2 部では 63 例が,EDP-938(負荷用量 600 mg 後に 300 mg 1 日 1 回 [300 mg 1 日 1 回群],または負荷用量 400 mg 後に 200 mg 1 日 2 回 [200 mg 1 日 2 回群])を投与する群とプラセボを投与する群に割り付けられた.第 1 部では,平均ウイルス量の AUC(時間×log10 コピー/mL)は,600 mg 1 日 1 回群 204.0,300 mg 1 日 2 回群 217.7,プラセボ群 790.2 であった.平均総症状スコアの AUC(時間×スコアで,値が高いほど重症度が高いことを示す)は,600 mg 1 日 1 回群 124.5,300 mg 1 日 2 回群 181.8,プラセボ群 478.8 であった.第 2 部の結果は第 1 部と同様のパターンを示し,平均ウイルス量の AUC は,300 mg 1 日 1 回群 173.9,200 mg 1 日 2 回群 196.2,プラセボ群 879.0 であり,平均総症状スコアの AUC はそれぞれ 99.3,89.6,432.2 であった.第 1 部,第 2 部とも,粘液産生は各 EDP-938 群がプラセボ群よりも 70%超少なかった.EDP-938 の 4 つのレジメンの安全性プロファイルは,プラセボと同様であった.すべての投与レジメンで,EDP-938 の最高血中濃度到達時間の中央値は 4~5 時間であり,半減期の幾何平均値は 13.7~14.5 時間であった.

結 論

EDP-938 のすべてのレジメンは,ウイルス量,総症状スコア,粘液の重量の低下に関してプラセボよりも優れており,明らかな安全性の懸念は認められなかった.(ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03691623)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 655 - 66. )