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February 24, 2022 Vol. 386 No. 8

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心停止後昏睡患者の律動性・周期性の脳波パターンの治療
Treating Rhythmic and Periodic EEG Patterns in Comatose Survivors of Cardiac Arrest

B.J. Ruijter and Others

背景

心停止後昏睡患者の律動性・周期性の脳波パターンを治療することで転帰が改善するかどうかは明らかにされていない.

方 法

心停止後昏睡患者において,持続脳波モニタリングで検出された律動性・周期性の脳波パターンを抑制する非盲検試験を行った.患者を,この脳波活動を 48 時間以上連続で抑制するための抗てんかん薬の段階的投与戦略と標準治療を併用する群(抗てんかん療法群)と,標準治療のみを行う群(対照群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.両群とも標準治療には体温管理療法が含まれた.主要転帰は,3 ヵ月の時点での脳機能カテゴリー(CPC)スケールのスコアに基づく神経学的転帰とし,転帰良好(障害なし,軽度障害,中等度障害を示す CPC スコア)と転帰不良(高度障害,昏睡,死亡を示す CPC スコア)の 2 つに分類した.副次的転帰は,死亡,集中治療室(ICU)在室期間,人工呼吸管理期間とした.

結 果

172 例が登録され,88 例が抗てんかん療法群,84 例が対照群に割り付けられた.律動性または周期性の脳波活動は心停止後中央値で 35 時間の時点で検出され,データを入手しえた 157 例中 98 例(62%)がミオクローヌスを有していた.律動性・周期性の脳波活動が 48 時間連続で完全に抑制されたのは,抗てんかん療法群 88 例中 49 例(56%),対照群 83 例中 2 例(2%)であった.3 ヵ月の時点で,抗てんかん療法群 88 例中 79 例(90%)と,対照群 84 例中 77 例(92%)が転帰不良であった(差 2 パーセントポイント,95%信頼区間 -7~11,P=0.68).3 ヵ月の時点での死亡率は,抗てんかん療法群 80%,対照群 82%であった.平均 ICU 在室期間と平均人工呼吸管理期間は,抗てんかん療法群のほうが対照群よりもわずかに長かった.

結 論

心停止後昏睡患者において,律動性・周期性の脳波活動を抗てんかん薬投与によって 48 時間以上抑制する戦略と標準治療を併用した場合と,標準治療のみを行った場合とで,3 ヵ月の時点での神経学的転帰不良の割合に有意差は認められなかった.(オランダてんかん財団から研究助成を受けた.TELSTAR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02056236)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 724 - 34. )