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March 3, 2022 Vol. 386 No. 9

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後期早産・正期産で出生した健康な乳児の RS ウイルス感染予防のためのニルセビマブ
Nirsevimab for Prevention of RSV in Healthy Late-Preterm and Term Infants

L.L. Hammitt and Others

背景

RS ウイルス(RSV)は,乳児の下気道感染症と入院の主な原因である.ニルセビマブ(nirsevimab)は,半減期を延長させた RSV 融合蛋白に対するモノクローナル抗体である.後期早産・正期産で出生した健康な乳児におけるニルセビマブの有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

在胎 35 週以降に出生した乳児を,RSV の流行期前にニルセビマブの単回筋肉内注射を行う群と,プラセボ注射を行う群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,注射後 150 日間における受診にいたった RSV 関連下気道感染症とした.副次的有効性エンドポイントは,注射後 150 日間における RSV 関連下気道感染症による入院とした.

結 果

1,490 例が無作為化され,994 例がニルセビマブ群,496 例がプラセボ群に割り付けられた.受診にいたった RSV 関連下気道感染症は,ニルセビマブ群では 12 例(1.2%),プラセボ群では 25 例(5.0%)に発生した.これはニルセビマブの有効率 74.5%(95%信頼区間 [CI] 49.6~87.1,P<0.001)に相当する.RSV 関連下気道感染症による入院は,ニルセビマブ群では 6 例(0.6%),プラセボ群では 8 例(1.6%)に発生した(有効率 62.1%,95% CI -8.6~86.8,P=0.07).361 日目までのデータが得られた児では,ベースライン後の抗薬物抗体がニルセビマブ群 951 例中 58 例(6.1%),プラセボ群 473 例中 5 例(1.1%)で検出された.重篤な有害事象は,ニルセビマブの投与を受けた 987 例中 67 例(6.8%),プラセボの投与を受けた 491 例中 36 例(7.3%)で報告された.

結 論

RSV 流行期前のニルセビマブの単回注射は,後期早産・正期産で出生した健康な乳児の,受診にいたる RSV 関連下気道感染症を防御した.(メディミューン社/アストラゼネカ社,サノフィ社から研究助成を受けた.MELODY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03979313)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 837 - 46. )