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September 22, 2022 Vol. 387 No. 12

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2 型糖尿病に対する血糖降下薬 ― 血糖の転帰
Glycemia Reduction in Type 2 Diabetes — Glycemic Outcomes

The GRADE Study Research Group

背景

2 型糖尿病患者の糖化ヘモグロビンの目標値を維持するために,メトホルミンに加えて血糖降下薬が投与されるが,その相対的有効性は明らかにされていない.

方 法

罹病期間 10 年未満の 2 型糖尿病で,メトホルミンを服用しており,糖化ヘモグロビン値が 6.8~8.5%の患者を対象とした試験で,よく使用される 4 種類の血糖降下薬の有効性を比較した.参加者を,インスリングラルギン U-100(以下,グラルギン)を投与する群,スルホニル尿素薬グリメピリドを投与する群,グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬リラグルチドを投与する群,ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬シタグリプチンを投与する群に無作為に割り付けた.主要代謝転帰は,糖化ヘモグロビン値 7.0%以上とした.年 4 回測定し,結果は測定した次の受診時に確認された.副次的代謝転帰は,糖化ヘモグロビン値 7.5%超が確認されることとした.

結 果

2 型糖尿病に対してメトホルミンを服用していた 5,047 例(黒人 19.8%,ヒスパニック系またはラテン系 18.6%)が,平均 5.0 年間追跡された.糖化ヘモグロビン値 7.0%以上(主要代謝転帰)の累積発生率には,4 群間で有意差が認められた(群間差の全体的 logrank 検定で P<0.001).主要代謝転帰の発生率は,グラルギン群(100 人年あたり 26.5)とリラグルチド群(26.1)が同程度で,グリメピリド群(30.4)とシタグリプチン群(38.1)よりも低かった.糖化ヘモグロビン値 7.5%超(副次的転帰)に関しては,群間差は主要転帰と同様の傾向を示した.事前に規定した,性別,年齢,人種・民族別のサブグループでは,主要転帰に大きな差は認められなかったが,ベースライン時の糖化ヘモグロビン値が高かった参加者では,グラルギン,リラグルチド,グリメピリドが,シタグリプチンよりもさらに大きな利益をもたらすと考えられた.重症低血糖の頻度は低かったが,グリメピリド群では患者の 2.2%に発現し,グラルギン群(1.3%),リラグルチド群(1.0%),シタグリプチン群(0.7%)よりも有意に頻度が高かった.リラグルチドの投与を受けた患者では,ほかの 3 群の患者よりも消化器系副作用の頻度が高く,体重減少が大きかった.

結 論

4 種類の薬剤はいずれも,メトホルミンに追加した場合に糖化ヘモグロビン値を低下させた.しかし,糖化ヘモグロビンの目標値の達成と維持には,グラルギンとリラグルチドが,ほかの 2 剤よりもわずかではあるが有意に有効であった.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.GRADE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01794143)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1063 - 74. )