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September 22, 2022 Vol. 387 No. 12

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駆出率が軽度低下または保持された心不全に対するダパグリフロジン
Dapagliflozin in Heart Failure with Mildly Reduced or Preserved Ejection Fraction

S.D. Solomon and Others

背景

ナトリウム–グルコース共輸送体 2(SGLT2)阻害薬は,慢性心不全で左室駆出率が 40%以下の患者の心不全による入院および心血管死のリスクを低減させる.左室駆出率がより高い患者に SGLT2 阻害薬が有効であるかどうかは,明らかにされていない.

方 法

心不全で左室駆出率が 40%を超える患者 6,263 例を,通常の治療に加えて,ダパグリフロジン(10 mg,1 日 1 回)を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,心不全の悪化(心不全による予定外の入院,または心不全による緊急受診と定義)または心血管死の複合とし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.

結 果

中央値 2.3 年の時点で,主要転帰はダパグリフロジン群 3,131 例中 512 例(16.4%),プラセボ群 3,132 例中 610 例(19.5%)に発生した(ハザード比 0.82,95%信頼区間 [CI] 0.73~0.92,P<0.001).心不全の悪化はダパグリフロジン群の 368 例(11.8%)とプラセボ群の 455 例(14.5%)に発生し(ハザード比 0.79,95% CI 0.69~0.91),心血管死はそれぞれ 231 例(7.4%)と 261 例(8.3%)に発生した(ハザード比 0.88,95% CI 0.74~1.05).総イベント数,および症状の負担は,ダパグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも少なかった.左室駆出率が 60%以上の患者と 60%未満の患者でも結果は同様であり,試験組入れ時の糖尿病の有無など,事前に規定したサブグループでも結果は同様であった.有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

ダパグリフロジンは,駆出率が軽度低下または保持された心不全患者における,心不全の悪化または心血管死の複合リスクを低下させた.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.DELIVER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03619213)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1089 - 98. )