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October 13, 2022 Vol. 387 No. 15

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脳底動脈閉塞による脳梗塞発症後 6~24 時間での血栓除去術の試験
Trial of Thrombectomy 6 to 24 Hours after Stroke Due to Basilar-Artery Occlusion

T.G. Jovin and Others

背景

脳底動脈閉塞による脳梗塞発症後 6~24 時間での血管内血栓除去術の効果とリスクについて,広範な検討はなされていない.

方 法

中国で 5 年間行った試験で,脳底動脈閉塞による脳梗塞の症状発現後 6~24 時間のあいだに受診した患者を,内科的治療+血栓除去術を行う群と,内科的治療のみを行う群(対照群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は当初,90 日の時点での修正ランキンスケール(0~6 で,0 は障害なし,4 は中等度~重度の障害,6 は死亡を示す)スコア 0~4 としていたが,良好な機能状態(修正ランキンスケールスコアが 0~3,3 は中等度の障害を示す)に変更した.主要安全性転帰は,24 時間の時点での症候性頭蓋内出血と,90 日死亡率とした.

結 果

解析対象は 217 例(血栓除去術群 110 例,対照群 107 例)で,症状発現後中央値で 663 分の時点で無作為化が行われた.事前に規定した中間解析の時点で,血栓除去術の優越性が示されたため,組入れを中止した.血栓溶解療法は,血栓除去術群の 14%と対照群の 21%に行われた.修正ランキンスケールスコアが 0~3(主要転帰)であった患者は,血栓除去術群では 51 例(46%),対照群では 26 例(24%)であった(補正率比 1.81,95%信頼区間 [CI] 1.26~2.60,P<0.001).変更前の主要転帰である,修正ランキンスケールスコアが 0~4 であった患者の割合は,それぞれ 55%と 43%であった(補正率比 1.21,95% CI 0.95~1.54).症候性頭蓋内出血は,血栓除去術群の 102 例中 6 例(6%)と,対照群の 88 例中 1 例(1%)に発現した(リスク比 5.18,95% CI 0.64~42.18).90 日死亡率は,血栓除去術群31%,対照群 42%であった(補正リスク比 0.75,95% CI 0.54~1.04).手技に伴う合併症は血栓除去術群の 11%に発生した.

結 論

脳底動脈閉塞による脳梗塞の症状発現後 6~24 時間の患者において,血栓除去術は,内科的治療と比較して 90 日の時点で良好な機能状態を有する患者の割合を上昇させたが,手技に伴う合併症と,脳出血がより多いことと関連した.(中国科学技術部から研究助成を受けた.BAOCHE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02737189)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1373 - 84. )