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November 24, 2022 Vol. 387 No. 21

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心血管リスク低減を目的としたペマフィブラートによるトリグリセリド低下
Triglyceride Lowering with Pemafibrate to Reduce Cardiovascular Risk

A. Das Pradhan and Others

背景

トリグリセリド高値は心血管リスクが高いことと関連しているが,トリグリセリドが低下すれば心血管イベントの発生率も低下するかどうかは明らかにされていない.選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)モジュレーターであるペマフィブラートは,トリグリセリドを低下させ,その他の脂質値を改善する.

方 法

国際共同二重盲検無作為化比較試験で,2 型糖尿病と軽度~中等度の高トリグリセリド血症(トリグリセリド値 200~499 mg/dL)を有し,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値 40 mg/dL 以下の患者を,ペマフィブラート(0.2 mg 錠 1 日 2 回)を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に割り付けた.適格患者は,ガイドラインに基づく脂質低下療法を受けている患者,副作用でスタチン内服が困難であり,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値 100 mg/dL 以下の患者などとした.主要有効性エンドポイントは,非致死的心筋梗塞,脳梗塞,冠血行再建,心血管系の原因による死亡の複合とした.

結 果

intention-to-treat 集団は 10,497 例(66.9%に心血管疾患の既往)であり,ベースラインの時点で,空腹時トリグリセリドの中央値は 271 mg/dL,HDL コレステロールの中央値は 33 mg/dL,LDL コレステロールの中央値は 78 mg/dL であった.追跡期間の中央値は 3.4 年であった.4 ヵ月の時点で,各脂質値に対するプラセボと比較したペマフィブラートの治療効果は,トリグリセリド -26.2%,超低比重リポ蛋白(VLDL)コレステロール -25.8%,レムナントコレステロール(脂肪分解とリポ蛋白リモデリングを経て,トリグリセリドに富むリポ蛋白として輸送されるコレステロール)-25.6%,アポリポ蛋白 C-III -27.6%,アポリポ蛋白 B 4.8%であった.主要エンドポイントイベントは,ペマフィブラート群の 572 例,プラセボ群の 560 例に発生し(ハザード比 1.03,95%信頼区間 0.91~1.15),事前に規定したサブグループのいずれにも,明らかな効果修飾は認められなかった.重篤な有害事象の全体的な発現率に群間で有意差は認められなかったが,ペマフィブラートは,有害腎イベントと静脈血栓塞栓症の発現率がより高く,非アルコール性脂肪性肝疾患の発現率がより低いことと関連した.

結 論

2 型糖尿病と軽度~中等度の高トリグリセリド血症を有し,HDL・LDL コレステロールが低い患者のうち,ペマフィブラートの投与を受けた患者では,トリグリセリド,VLDL コレステロール,レムナントコレステロール,アポリポ蛋白 C-III が低下したが,プラセボの投与を受けた患者と比較して,心血管イベントの発生率は低くなかった.(コーワ・リサーチ・インスティテュートから研究助成を受けた.PROMINENT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03071692)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1923 - 34. )