The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 7, 2022 Vol. 387 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

有症状のオミクロン株感染に対する過去の感染およびワクチン接種の効果
Effects of Previous Infection and Vaccination on Symptomatic Omicron Infections

H.N. Altarawneh and Others

背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)オミクロン株(B.1.1.529 変異株)の亜系統 BA.1 または BA.2 による有症状感染に対して,自然免疫,ワクチン接種,およびその両方が付与する防御効果は明らかにされていない.

方 法

2021 年 12 月 23 日~2022 年 2 月 21 日に,カタールで,検査陰性者を対照としてマッチさせる全国規模の症例対照研究を行い,BNT162b2 ワクチン(ファイザー社–ビオンテック社)または mRNA-1273 ワクチン(モデルナ社)の接種,オミクロン株以外の変異株への過去の感染による自然免疫,ハイブリッド免疫(過去の感染とワクチン接種)の,有症状のオミクロン株感染の予防における有効性と,重症,重篤,致死的新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の予防における有効性を評価した.

結 果

有症状の BA.2 感染の予防について,過去の感染のみの場合の有効率は 46.1%(95%信頼区間 [CI] 39.5~51.9)であった.BNT162b2 ワクチンを 2 回接種し,過去の感染がない場合の有効率は無視しうる程度であったが(-1.1%,95% CI -7.1~4.6),ほぼ全例が 2 回目接種を 6 ヵ月以上前に受けていた.BNT162b2 ワクチンを 3 回接種し,過去の感染がない場合の有効率は 52.2%(95% CI 48.1~55.9)であった.過去に感染し,BNT162b2 ワクチンを 2 回接種している場合の有効率は 55.1%(95% CI 50.9~58.9),過去に感染し,BNT162b2 ワクチンを 3 回接種している場合の有効率は 77.3%(95% CI 72.4~81.4)であった.BA.2 感染による重症,重篤,致死的 Covid-19 の予防については,過去の感染のみ,BNT162b2 ワクチン接種のみ,ハイブリッド免疫のいずれも,高い有効率(>70%)を示した.BA.1 感染の予防における有効性の解析,mRNA-1273 ワクチン接種の解析においても,同様の結果が認められた.

結 論

有症状の BA.1 および BA.2 感染に対する防御効果に,過去の感染,ワクチン接種,ハイブリッド免疫による明確な差は認められなかった.過去に感染したことのある人では,ワクチン接種により防御効果が増強された.過去の感染と最近のブースター接種によるハイブリッド免疫が,もっとも強力な防御効果を付与した.(ワイル・コーネル医科大学カタール校ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 21 - 34. )