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July 21, 2022 Vol. 387 No. 3

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血友病 B 患者に対する AAVS3 遺伝子治療の第 1・2 相試験
Phase 1–2 Trial of AAVS3 Gene Therapy in Patients with Hemophilia B

P. Chowdary and Others

背景

FLT180a(verbrinacogene setparvovec)は,血友病 B 患者の第 IX 因子活性を正常化するために合成カプシドと機能獲得蛋白を使用する,肝指向性アデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療である.

方 法

多施設共同非盲検第 1・2 相試験で,重度または中等度の血友病 B 患者(第 IX 因子活性が正常値の 2%以下)を対象として,さまざまな用量の FLT180a の安全性と有効性を評価した.ベクター関連免疫応答のリスクを低下させるための免疫抑制療法として,全例にグルココルチコイド投与を,タクロリムスとの併用または非併用で行った.26 週間後,患者を長期追跡調査に登録した.主要エンドポイントは安全性と有効性とし,有効性は 26 週の時点における第 IX 因子活性で評価した.

結 果

10 例に,FLT180a を体重 1 kg あたり 3.84×1011 ベクターゲノム [vg],6.40×1011 vg,8.32×1011 vg,1.28×1012 vg のいずれかの用量で注入した.投与後,全例で第 IX 因子活性が用量依存的に上昇した.追跡期間中央値 27.2 ヵ月(範囲 19.1~42.4 ヵ月)の時点で,第 IX 因子製剤の予防投与を再開した 1 例を除く全例で,第 IX 因子活性の維持が認められた.データカットオフ日(2021 年 9 月 20 日)の時点で,第 IX 因子活性は 5 例で正常(範囲 51~78%)であり,3 例では 23~43%,1 例では 260%であった.報告された有害事象のうち,約 10%は FLT180a に関連するもので,24%は免疫抑制療法に関連するものであった.肝アミノトランスフェラーゼ値の上昇は,FLT180a 関連の有害事象のなかでもっとも頻度が高かった.アミノトランスフェラーゼ値の遅発性上昇は,グルココルチコイドの漸減後にタクロリムスの長期投与を受けた患者に発生した.第 IX 因子活性が高値であった 1 例に,重篤な有害事象として動静脈瘻血栓症が発現した.

結 論

低用量の FLT180a で第 IX 因子活性は正常範囲内に維持されたが,免疫抑制療法として,タクロリムスの併用または非併用でのグルココルチコイド投与を必要とした.(フリーライン セラピューティクス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号:NCT03369444,NCT03641703;EudraCT 登録番号:2017-000852-24,2017-005080-40)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 237 - 47. )