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August 11, 2022 Vol. 387 No. 6

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α1-アンチトリプシン欠損症に関連する肝疾患に対するファジルシラン
Fazirsiran for Liver Disease Associated with Alpha1-Antitrypsin Deficiency

P. Strnad and Others

背景

α1-アンチトリプシン(AAT)欠損症は,SERPINA1 のホモ接合性「Z 型」変異(プロテイナーゼ阻害物質 [PI] ZZ)に起因する.Z アレルは Z-AAT と呼ばれる変異型 AAT 蛋白を産生する.Z-AAT は肝細胞に蓄積し,進行性の肝疾患および肝線維化を引き起こす可能性がある.非盲検第 2 相試験で,RNA 干渉治療薬であるファジルシラン(fazirsiran)の,AAT 欠損症に関連する肝疾患の患者における安全性と有効性を検討した.

方 法

PI ZZ 遺伝子型で,肝線維化を有する成人を,ファジルシラン 200 mg(コホート 1 [4 例]とコホート 2 [8 例])または 100 mg(コホート 1b [4 例])を,1 日目と 4 週目,その後は 12 週ごとに皮下投与する治療に割り付けた.主要エンドポイントは,肝臓内 Z-AAT 濃度のベースラインから 24 週までの変化量(コホート 1 とコホート 1b),または 48 週までの変化量(コホート 2)とし,液体クロマトグラフィー質量分析法により測定した.

結 果

全例で肝臓内 Z-AAT 蓄積量が減少した(24 週または 48 週の時点での減少割合の中央値 83%).血清中 Z-AAT 濃度の最低値での減少割合は約 90%であり,ファジルシラン投与は,組織所見上の肝内封入体の減少とも関連した(スコア [0~9 で,スコアが高いほど肝内封入体が多いことを示す] の平均がベースライン時の 7.4 から,24 週または 48 週の時点で 2.3 に低下).全コホートで肝酵素値が低下した.24 週または 48 週の時点で,肝線維化は 15 例中 7 例で退縮し,15 例中 2 例で進行した.試験の中止または投与の中止に至る有害事象はなかった.重篤な有害事象は 4 件発現し(ウイルス性心筋炎,憩室炎,呼吸困難,前庭神経炎),いずれも消失した.

結 論

今回の小規模試験では,ファジルシランを投与した患者において,血清中および肝臓内 Z-AAT 濃度の顕著な低下と,肝酵素値の改善が同時に認められた.(アローヘッド ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.AROAAT-2002 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03946449)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 514 - 24. )