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September 1, 2022 Vol. 387 No. 9

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薬剤耐性結核に対するベダキリン+プレトマニド+リネゾリドレジメン
Bedaquiline–Pretomanid–Linezolid Regimens for Drug-Resistant Tuberculosis

F. Conradie and Others

背景

高度薬剤耐性結核に対するベダキリン+プレトマニド(pretomanid)+リネゾリドレジメンの有効率は 90%と報告されているが,リネゾリドの 1,200 mg 連日投与による有害事象の頻度は高かった.高度薬剤耐性結核に対する有効性を維持しながら,毒性を最小限に抑えるために適切なリネゾリドの用量と投与期間は明らかにされていない.

方 法

超多剤耐性(XDR)結核(リファンピシン,フルオロキノロン系,アミノグリコシド系に耐性)の患者,XDR の前段階の結核(pre-XDR 結核;リファンピシン耐性で,フルオロキノロン系またはアミノグリコシド系に耐性)の患者,治療が奏効しなかったか副作用のために二次治療レジメンが中止されたリファンピン(rifampin)耐性結核の患者を組み入れた.参加者を,ベダキリンの 26 週間投与(200 mg/日を 8 週間,その後 100 mg/日を 18 週間)とプレトマニド(200 mg/日)の 26 週間投与に加えて,リネゾリドの連日投与を 1,200 mg で 26 週間行う群,1,200 mg で 9 週間行う群,600 mg で 26 週間行う群,600 mg で 9 週間行う群に無作為に割り付けた.修正 intention-to-treat 集団の主要エンドポイントは好ましくない転帰の発生とし,投与完了後 26 週の時点での(臨床的または細菌学的な)治療失敗または疾患再発と定義した.安全性も評価した.

結 果

組み入れられた 181 例のうち,88%が XDR 結核または pre-XDR 結核であった.ベダキリン+プレトマニド+リネゾリドの投与(リネゾリドは,1,200 mg を 26 週間,1,200 mg を 9 週間,600 mg を 26 週間,600 mg を 9 週間のいずれか)を受けた参加者のうち,93%,89%,91%,84%が好ましい転帰をとった.末梢神経障害はそれぞれ 38%,24%,24%,13%,骨髄抑制はそれぞれ 22%,15%,2%,7%に発現した.リネゾリドの用量変更(中断,減量,中止)はそれぞれ 51%,30%,13%,13%で行われた.リネゾリド 1,200 mg 26 週間投与群の 4 例(9%)に視神経症が発現し,いずれも回復した.78 週間の追跡期間中に認められた好ましくない細菌学的転帰 7 件のうち,6 件はリネゾリドを 9 週間投与した 2 群で発生した.

結 論

ベダキリン+プレトマニド+リネゾリドを投与した全 4 群の参加者の 84~93%が好ましい転帰をとった.全体的なリスク・利益比は,リネゾリド 600 mg を 26 週間投与した 3 剤レジメン群で良好であり,有害事象の頻度は低く,リネゾリドの用量変更も少なかった.(TB アライアンスほかから研究助成を受けた.ZeNix 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03086486)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 810 - 23. )