慢性リンパ性白血病に対する一次治療としてのベネトクラクス併用療法
First-Line Venetoclax Combinations in Chronic Lymphocytic Leukemia
B. Eichhorst and Others
全身状態が良好な(すなわち併存病態の負荷が少ない)進行慢性リンパ性白血病(CLL)患者における,一次治療としてのベネトクラクスと抗 CD20 抗体の併用の無作為化試験はない.
第 3 相非盲検試験で,TP53 変異陰性の全身状態が良好な CLL 患者を,6 サイクルの免疫化学療法(フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ,またはベンダムスチン+リツキシマブ)を行う群と,12 サイクルのベネトクラクス+リツキシマブの投与を行う群,ベネトクラクス+オビヌツズマブの投与を行う群,ベネトクラクス+オビヌツズマブ+イブルチニブの投与を行う群に 1:1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.イブルチニブは,微小残存病変が 2 回連続で陰性の場合に中止し,そうでない場合は延長可能とした.主要エンドポイントは,15 ヵ月の時点でのフローサイトメトリーで評価した末梢血中の微小残存病変陰性(感度 10-4 未満 [CLL 細胞が白血球 10,000 個中 1 個未満])と,無増悪生存とした.
926 例が 4 つの治療レジメンのいずれかに割り付けられた(免疫化学療法群 229 例,ベネトクラクス+リツキシマブ群 237 例,ベネトクラクス+オビヌツズマブ群 229 例,ベネトクラクス+オビヌツズマブ+イブルチニブ群 231 例).15 ヵ月の時点での微小残存病変陰性割合は,ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(86.5%,97.5%信頼区間 [CI] 80.6~91.1)とベネトクラクス+オビヌツズマブ+イブルチニブ群(92.2%,97.5% CI 87.3~95.7)が,免疫化学療法群(52.0%,97.5% CI 44.4~59.5)よりも有意に高かったが(両比較について P<0.001),ベネトクラクス+リツキシマブ群(57.0%,97.5% CI 49.5~64.2)は有意に高くはなかった(P=0.32).3 年無増悪生存割合は,ベネトクラクス+オビヌツズマブ+イブルチニブ群で 90.5%,免疫化学療法群で 75.5%であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.32,97.5% CI 0.19~0.54,P<0.001).ベネトクラクス+オビヌツズマブ群も免疫化学療法群より高かったが(87.7%,病勢進行または死亡のハザード比 0.42,97.5% CI 0.26~0.68,P<0.001),ベネトクラクス+リツキシマブ群は高くなかった(80.8%,ハザード比 0.79,97.5% CI 0.53~1.18,P=0.18).グレード 3 または 4 の感染症の頻度は,免疫化学療法群(18.5%)とベネトクラクス+オビヌツズマブ+イブルチニブ群(21.2%)が,ベネトクラクス+リツキシマブ群(10.5%)とベネトクラクス+オビヌツズマブ群(13.2%)よりも高かった.
全身状態が良好な CLL 患者の一次治療として,ベネトクラクス+オビヌツズマブは,イブルチニブの併用・非併用にかかわらず,免疫化学療法よりも優れていた.(アッヴィ社ほかから研究助成を受けた.GAIA–CLL13 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02950051,EudraCT 登録番号 2015-004936-36)