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January 19, 2023 Vol. 388 No. 3

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FGFR2 再構成肝内胆管癌に対するフチバチニブ
Futibatinib for FGFR2-Rearranged Intrahepatic Cholangiocarcinoma

L. Goyal and Others

背景

線維芽細胞増殖因子受容体 2(FGFR2)の変異は,予後不良のまれな癌である肝内胆管癌の有望な薬剤標的として浮上している.次世代共有結合型 FGFR1~4 阻害薬であるフチバチニブ(futibatinib)は,FGFR 変異腫瘍を有する患者では抗腫瘍活性を示し,前臨床研究では,ATP 競合型 FGFR 阻害薬に関連する獲得耐性変異に対する強力な活性を示している.

方 法

国際共同非盲検単群第 2 相試験で,切除不能または転移性の FGFR2 融合陽性または FGFR2 再構成陽性の肝内胆管癌を有し,1 種類以上の全身療法(FGFR 阻害薬を除く)後に疾患が進行した患者を組み入れた.患者に,継続投与レジメンでフチバチニブ 20 mg を 1 日 1 回経口投与した.主要エンドポイントは客観的奏効(部分奏効または完全奏効)とし,独立中央判定で評価した.副次的エンドポイントは,奏効期間,無増悪生存,全生存,安全性,患者報告アウトカムなどとした.

結 果

2018 年 4 月 16 日~2019 年 11 月 29 日に,103 例が組み入れられ,フチバチニブの投与を受けた.103 例中 43 例(42%,95%信頼区間 32~52)で奏効が得られ,奏効期間の中央値は 9.7 ヵ月であった.奏効は,複数の前治療歴のある癌患者,高齢者,TP53 変異が共存している患者などの,すべての患者サブグループで認められた.追跡期間中央値 17.1 ヵ月の時点で,無増悪生存期間の中央値は 9.0 ヵ月,全生存期間の中央値は 21.7 ヵ月であった.頻度の高かったグレード 3 の治療関連有害事象は,高リン酸血症(患者の 30%),アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(7%),口内炎(6%),倦怠感(6%)であった.フチバチニブの恒久的中止にいたった治療関連有害事象は,患者の 2%に発現した.治療関連死は発生しなかった.QOL は投与期間中維持された.

結 論

治療歴のある FGFR2 融合または再構成陽性の肝内胆管癌患者において,共有結合型 FGFR 阻害薬フチバチニブの使用により,測定可能な臨床的利益が得られた.(大鵬オンコロジー社,大鵬薬品工業社から研究助成を受けた.FOENIX-CCA2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02052778)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 228 - 39. )