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March 9, 2023 Vol. 388 No. 10

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リファンピン感受性結核の治療戦略
Treatment Strategy for Rifampin-Susceptible Tuberculosis

N.I. Paton and Others

背景

結核は通常,リファンピン(rifampin)を主体とする 6 ヵ月間のレジメンで治療される.より短期の初回治療を用いる戦略により,同様の転帰が得られる可能性があるかどうかは明らかにされていない.

方 法

適応的非盲検非劣性試験で,リファンピン感受性肺結核の参加者を,標準治療(リファンピンとイソニアジドを 24 週間,最初の 8 週間はピラジナミドとエタンブトールも投与)を行う群と,8 週間のレジメンで初回治療を行い,疾患が臨床的に持続している場合は治療を延長し,治療後は経過観察を行い,再燃した場合は再治療する戦略を用いる群に,無作為に割り付けた.初回レジメンの異なる 4 つの戦略群を設定し,登録が完全であった 2 つの戦略群で非劣性を評価した.2 群は,初回レジメンが高用量リファンピン+リネゾリドの群と,ベダキリン+リネゾリドの群であった(いずれもイソニアジド,ピラジナミド,エタンブトールを併用).主要転帰は,96 週の時点での死亡,治療の継続,活動性疾患の複合とした.非劣性マージンは 12 パーセントポイントとした.

結 果

intention-to-treat 集団の 674 例のうち,4 例(0.6%)が同意を撤回したか,追跡不能となった.主要転帰イベントは,標準治療群では 181 例中 7 例(3.9%)に発生したのに対し,初回レジメンがリファンピン+リネゾリドの戦略群では 184 例中 21 例(11.4%)に発生し(補正後の差 7.4 パーセントポイント,97.5%信頼区間 [CI] 1.7~13.2,非劣性基準を満たさなかった),初回レジメンがベダキリン+リネゾリドの戦略群では 189 例中 11 例(5.8%)に発生した(補正後の差 0.8 パーセントポイント,97.5% CI -3.4~5.1,非劣性基準を満たした).総治療期間の平均は,標準治療群で 180 日,リファンピン+リネゾリド戦略群で 106 日,ベダキリン+リネゾリド戦略群で 85 日であった.グレード 3 または 4 の有害事象と重篤な有害事象の発現率は,3 群で同程度であった.

結 論

結核に対し,8 週間のベダキリン+リネゾリドレジメンで初回治療を行う戦略は,臨床転帰に関して,標準治療に対して非劣性であった.この戦略は,総治療期間の短縮と関連し,明らかな安全性の懸念とは関連しなかった.(シンガポール国立医療研究協議会ほかから研究助成を受けた.TRUNCATE-TB 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03474198)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 873 - 87. )