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September 21, 2023 Vol. 389 No. 12

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BRAF V600 変異陽性小児神経膠腫に対するダブラフェニブとトラメチニブの併用
Dabrafenib plus Trametinib in Pediatric Glioma with BRAF V600 Mutations

E. Bouffet and Others

背景

小児低悪性度神経膠腫における BRAF V600E 変異の検出は,標準化学療法に対する反応がより低いことに関連することが示されている.ダブラフェニブは(単剤療法,トラメチニブとの併用療法のいずれも),先行試験において BRAF V600 変異陽性の再発性小児低悪性度神経膠腫に対する有効性を示していることから,この併用療法を一次治療としてさらに評価する必要がある.

方 法

第 2 相試験で,一次治療を受ける予定の BRAF V600 変異陽性小児低悪性度神経膠腫患者を,ダブラフェニブとトラメチニブを併用投与する群と,標準化学療法(カルボプラチン+ビンクリスチン)を行う群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,神経腫瘍学治療効果判定(RANO)基準に基づき,独立に評価された全奏効(完全奏効または部分奏効)とした.臨床的利益(完全奏効,部分奏効,24 週間以上の安定)と無増悪生存も評価した.

結 果

110 例が無作為化された(ダブラフェニブ+トラメチニブ群 73 例,標準化学療法群 37 例).追跡期間中央値 18.9 ヵ月の時点で,全奏効が得られた割合は,ダブラフェニブ+トラメチニブの投与を受けた患者では 47%,化学療法を受けた患者では 11%であった(リスク比 4.31,95%信頼区間 [CI] 1.7~11.2,P<0.001).臨床的利益が認められた割合は,ダブラフェニブ+トラメチニブの投与を受けた患者では 86%,化学療法を受けた患者では 46%であった(リスク比 1.88,95% CI 1.3~2.7).無増悪生存期間の中央値は,ダブラフェニブ+トラメチニブ群のほうが化学療法群よりも有意に長かった(20.1 ヵ月 対 7.4 ヵ月,ハザード比 0.31,95% CI 0.17~0.55,P<0.001).グレード 3 以上の有害事象は,ダブラフェニブ+トラメチニブの投与を受けた患者では 47%,化学療法を受けた患者では 94%に発現した.

結 論

BRAF V600 変異陽性小児低悪性度神経膠腫患者の一次治療として,ダブラフェニブとトラメチニブの併用は,標準化学療法と比較して,奏効割合が有意に高く,無増悪生存期間が有意に長く,安全性プロファイルが良好であった.(ノバルティス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02684058)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1108 - 20. )