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December 7, 2023 Vol. 389 No. 23

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葉酸受容体α陽性の白金製剤抵抗性卵巣癌に対するミルベツキシマブ ソラブタンシン
Mirvetuximab Soravtansine in FRα-Positive, Platinum-Resistant Ovarian Cancer

K.N. Moore and Others

背景

葉酸受容体α(FRα)を標的とするファーストインクラスの抗体薬物複合体であるミルベツキシマブ ソラブタンシン-gynx(mirvetuximab soravtansine-gynx:MIRV)は,米国において白金製剤抵抗性卵巣癌の治療薬として承認されている.

方 法

白金製剤抵抗性の高悪性度漿液性卵巣癌の治療における MIRV の有効性と安全性を,試験担当医師が選択した化学療法と比較する第 3 相国際共同検証的非盲検無作為化比較試験を行った.1~3 レジメンの治療歴があり,腫瘍の FRα 発現量が高い(細胞の 75%以上が染色強度 2+以上)参加者を,MIRV(6 mg/kg 調整理想体重を 3 週ごと)を投与する群と,化学療法(パクリタキセル,ペグ化リポソームドキソルビシン,トポテカン [topotecan] のいずれか)を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは試験担当医師の評価による無増悪生存とし,重要な副次的解析エンドポイントは客観的奏効,全生存,参加者報告アウトカムとした.

結 果

453 例が無作為化され,227 例が MIRV 群,226 例が化学療法群に割り付けられた.無増悪生存期間の中央値は,MIRV 群で 5.62 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 4.34~5.95),化学療法群で 3.98 ヵ月(95% CI 2.86~4.47)であった(P<0.001).客観的奏効は,MIRV 群では参加者の 42.3%,化学療法群では参加者の 15.9%で得られた(オッズ比 3.81,95% CI 2.44~5.94,P<0.001).全生存期間は,MIRV のほうが化学療法よりも有意に長かった(中央値 16.46 ヵ月 対 12.75 ヵ月,死亡のハザード比 0.67,95% CI 0.50~0.89,P=0.005).投与期間中に発現したグレード 3 以上の有害事象は,MIRV のほうが化学療法よりも少なく(41.7% 対 54.1%),全グレードの重篤な有害事象も同様であり(23.9% 対 32.9%),中止にいたった有害事象も同様であった(9.2% 対 15.9%).

結 論

白金製剤抵抗性の FRα 陽性卵巣癌の参加者において,MIRV の投与は,無増悪生存,全生存,客観的奏効に関して,化学療法を上回る有意な利益を示した.(イミュノジェン社から研究助成を受けた.MIRASOL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04209855)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 2162 - 74. )