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January 18, 2024 Vol. 390 No. 3

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性腺機能低下症の男性におけるテストステロン投与と骨折
Testosterone Treatment and Fractures in Men with Hypogonadism

P.J. Snyder and Others

背景

性腺機能低下症の男性に対するテストステロン投与は,骨密度と骨質を改善するが,骨折の発生に対する効果を明らかにするためには,十分なサンプル数と期間の試験が必要である.

方 法

性腺機能低下症の中高年以上の男性に対するテストステロン投与の心血管安全性を評価した二重盲検無作為化プラセボ対照試験のサブ試験として,臨床的骨折のリスクを生存時間(time-to-event)解析を用いて検討した.45~80 歳で,心血管疾患をすでに有するかそのリスクが高く,性腺機能低下症の症状を 1 つ以上有し,早朝空腹時に 48 時間以上の間隔をあけて 2 回採取した血漿中のテストステロン濃度が 300 ng/dL(10.4 nmol/L)未満であった男性を適格とした.参加者を,テストステロンゲルを 1 日 1 回塗布する群と,プラセボゲルを塗布する群に無作為に割り付けた.受診時に毎回,前回の受診後骨折したかどうかを参加者に質問した.骨折していた場合は診療録を入手し,骨折かどうかの判定を行った.

結 果

最大の解析対象集団は 5,204 例(テストステロン群 2,601 例,プラセボ群 2,603 例)であった.追跡期間中央値 3.19 年の時点で,臨床的骨折は,テストステロン群では 91 例(3.50%),プラセボ群では 64 例(2.46%)に発生していた(ハザード比 1.43,95%信頼区間 1.04~1.97).他のすべての骨折エンドポイントについても,テストステロン群のほうが発生率が高い傾向にあった.

結 論

性腺機能低下症の中高年以上の男性では,テストステロン投与により,臨床的骨折の発生率がプラセボよりも低くなることはなかった.骨折の発生率は,テストステロン投与を受けた男性のほうが,プラセボ投与を受けた男性よりも数値的に高かった.(アッヴィ社ほかから研究助成を受けた.TRAVERSE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03518034)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 203 - 11. )