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January 18, 2024 Vol. 390 No. 3

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心不全に対する心臓再同期・除細動治療の長期転帰
Long-Term Outcomes of Resynchronization–Defibrillation for Heart Failure

J.L. Sapp and Others

背景

「自由行動下の心不全患者を対象とした心臓再同期・除細動治療の試験(RAFT)」では,心臓再同期療法(CRT)を行った患者のほうが,植込み型除細動器(ICD)のみで治療した患者よりも,5 年死亡率に関する利益が大きいことが示された.しかし,CRT の長期生存に対する効果はわかっていない.

方 法

ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類 II 度または III 度の心不全を有し,左室駆出率 30%以下,内因性 QRS 幅 120 msec 以上(またはペーシング QRS 幅 200 msec 以上)の患者を,ICD を植え込む群と,CRT 機能付き除細動器(CRT-D)を植え込む群に無作為に割り付けた.組入れ数がとくに多かった 8 施設の患者の長期転帰を評価した.主要転帰は全死因死亡とし,副次的転帰は全死因死亡,心臓移植,補助人工心臓の植込みの複合とした.

結 果

試験に組み入れられた 1,798 例のうち,1,050 例が長期生存試験に組み入れられた.この 1,050 例の追跡期間の中央値は 7.7 年(四分位範囲 3.9~12.8)であり,生存患者の追跡期間の中央値は 13.9 年(四分位範囲 12.8~15.7)であった.死亡は,ICD 群に割り付けられた 530 例中 405 例(76.4%)と,CRT-D 群に割り付けられた 520 例中 370 例(71.2%)に発生した.死亡までの期間は,CRT-D 群のほうが ICD 群よりも長いと思われた(加速係数 0.80,95%信頼区間 0.69~0.92,P=0.002).副次的転帰イベントは,ICD 群では 412 例(77.7%),CRT-D 群では 392 例(75.4%)に発生した.

結 論

駆出率低下,QRS 幅延長,NYHA 分類 II 度または III 度の心不全を有する患者において,CRT-D の植込みに伴う生存への利益は,中央値で約 14 年の追跡期間中,ICD よりも持続したと思われた.(RAFT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00251251)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 212 - 20. )