急性期脳梗塞に対するレテプラーゼとアルテプラーゼとの比較
Reteplase versus Alteplase for Acute Ischemic Stroke
S. Li and Others
アルテプラーゼは早期再灌流療法に用いられる標準的な薬剤であるが,これに代わる新たな血栓溶解薬が必要である.急性期脳梗塞患者におけるレテプラーゼ(reteplase)の,アルテプラーゼと比較した有効性と安全性は明らかにされていない.
脳梗塞発症後 4.5 時間以内の患者を,レテプラーゼを静脈内投与する群(18 mg をボーラス投与し,30 分後にもう 1 回 18 mg をボーラス投与)と,アルテプラーゼを静脈内投与する群(0.9 mg/kg 体重,最大 90 mg)に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性転帰は非常に良好な機能的転帰とし,90 日の時点での修正ランキンスケール(範囲 0 [神経障害なし,症状なし,完全回復のいずれか]~6 [死亡])のスコアが 0 または 1 であることと定義した.主要安全性転帰は,脳梗塞発症後 36 時間以内の症候性頭蓋内出血とした.
707 例がレテプラーゼ群,705 例がアルテプラーゼ群に割り付けられた.非常に良好な機能的転帰は,レテプラーゼ群では 79.5%で得られ,アルテプラーゼ群では 70.4%で得られた(リスク比 1.13,95%信頼区間 [CI] 1.05~1.21,非劣性の P<0.001,優越性の P=0.002).脳梗塞発症後 36 時間以内の症候性頭蓋内出血は,レテプラーゼ群では 700 例中 17 例(2.4%)に発生し,アルテプラーゼ群では 699 例中 14 例(2.0%)に発生した(リスク比 1.21,95% CI 0.54~2.75).90 日の時点での,全頭蓋内出血の発生率はレテプラーゼのほうがアルテプラーゼよりも高く(7.7% 対 4.9%,リスク比 1.59,95% CI 1.00~2.51),有害事象の発現率もレテプラーゼのほうがアルテプラーゼよりも高かった(91.6% 対 82.4%,リスク比 1.11,95% CI 1.03~1.20).
脳梗塞発症後 4.5 時間以内の患者において,レテプラーゼは,非常に良好な機能的転帰が得られる確率がアルテプラーゼよりも高かった.(チャイナリソーシズ アンダ バイオテックファーマ社ほかから研究助成を受けた.RAISE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05295173)