January 25, 2024 Vol. 390 No. 4
動脈管開存症に対する選択的早期イブプロフェン投与の試験
Trial of Selective Early Treatment of Patent Ductus Arteriosus with Ibuprofen
S. Gupta and Others
シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるイブプロフェンは,早産児の動脈管開存症(PDA)の治療に使用できる可能性がある.大きな PDA に対する選択的早期イブプロフェン投与が,短期転帰を改善するかどうかは明らかでない.
超早産児(在胎 23 週 0 日~28 週 6 日に出生)の大きな PDA(動脈管径 1.5 mm 以上,左右短絡血流の増加を伴う)に対する早期イブプロフェン投与(生後 72 時間以内)を評価する,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.主要転帰は,死亡または中等度/重度の気管支肺異形成症の複合とし,最終月経後週齢 36 週の時点で評価した.
326 例がイブプロフェン群,327 例がプラセボ群に割り付けられ,転帰解析用のデータはそれぞれ 324 例,322 例から得られた.主要転帰イベントは,イブプロフェン群では 318 例中 220 例(69.2%),プラセボ群では 318 例中 202 例(63.5%)に発生した(補正リスク比 1.09,95%信頼区間 [CI] 0.98~1.20,P=0.10).イブプロフェン群では 323 例中 44 例(13.6%)が死亡し,プラセボ群では 321 例中 33 例(10.3%)が死亡した(補正リスク比 1.32,95% CI 0.92~1.90).最終月経後週齢 36 週の時点で生存していた児において,中等度/重度の気管支肺異形成症は,イブプロフェン群では 274 例中 176 例(64.2%),プラセボ群では 285 例中 169 例(59.3%)に発生した(補正リスク比 1.09,95% CI 0.96~1.23).イブプロフェンに関連する可能性のある,予期せぬ重篤な有害事象が 2 件発現した.
PDA に対し,早期イブプロフェン投与を受けた児の最終月経後週齢 36 週の時点での死亡または中等度/重度の気管支肺異形成症のリスクは,プラセボ投与を受けた児と比較して,有意に低くはなかった.(英国国立健康研究所 医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.Baby-OSCAR 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN84264977)