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January 4, 2024 Vol. 390 No. 1

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膝下動脈疾患に対する生体吸収性薬剤溶出スキャフォールドと血管形成術との比較
Drug-Eluting Resorbable Scaffold versus Angioplasty for Infrapopliteal Artery Disease

R.L. Varcoe and Others

背景

包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)と膝下動脈疾患を有する患者では,血管形成術は,再狭窄が生じることで,頻回の再介入や下肢の有害転帰に関連することが示されている.生体吸収性薬剤溶出スキャフォールドの使用がこれらの転帰に及ぼす影響は明らかにされていない.

方 法

多施設共同無作為化比較試験で,CLTI と膝下動脈疾患を有する患者 261 例を,エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールドによる治療を行う群と,血管形成術による治療を行う群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,1 年の時点で次のイベントが発生していないこととした:対象肢の足関節より近位での切断,標的血管の閉塞,臨床的必要性による標的病変の再血行再建,標的病変の再狭窄(血管径の 50%超の再狭窄,または収縮期最大血流速度比 2.0 以上).主要安全性エンドポイントは,6 ヵ月の時点で主要有害下肢イベントが発生していないことと,周術期死亡が発生していないこととした.

結 果

主要有効性エンドポイントが達成された(すなわち,イベントが発生しなかった)のは,スキャフォールド群では 173 例中 135 例,血管形成術群では 88 例中 48 例であった(Kaplan–Meier 推定値 74% 対 44%,絶対差 30 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 15~46,優越性の片側 P<0.001).主要安全性エンドポイントが達成されたのは,スキャフォールド群では 170 例中 165 例,血管形成術群では 90 例中 90 例であった(絶対差 -3 パーセントポイント,95% CI -6~0,非劣性の片側 P<0.001).指標手技に関連する重篤な有害事象は,スキャフォールド群では 2%,血管形成術群では 3%に発現した.

結 論

膝下動脈疾患による CLTI を有する患者において,エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールドの使用は,主要有効性エンドポイントに関して血管形成術よりも優れていた.(アボット社から研究助成を受けた.LIFE-BTK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04227899)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 9 - 19. )