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January 4, 2024 Vol. 390 No. 1

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IgA 腎症患者に対するシベプレンリマブの第 2 相試験
A Phase 2 Trial of Sibeprenlimab in Patients with IgA Nephropathy

M. Mathur and Others

背景

増殖誘導リガンド(a proliferation-inducing ligand:APRIL)は IgA 腎症の発症機序に関与している. シベプレンリマブ(sibeprenlimab)は,APRIL と結合し中和する,ヒト化 IgG2 モノクローナル抗体である.

方 法

第 2 相多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照並行群間試験において,IgA 腎症の診断が生検で確定し,標準治療を受けているにもかかわらず疾患進行のリスクが高い成人を,シベプレンリマブを体重 1 kg あたり 2 mg 静脈内投与する群,4 mg 静脈内投与する群,8 mg 静脈内投与する群,プラセボを静脈内投与する群に 1:1:1:1 の割合で無作為に割り付け,月 1 回,12 ヵ月間投与した.主要エンドポイントは,12 ヵ月の時点での,対数変換した 24 時間尿蛋白/クレアチニン比のベースラインからの変化量とした.副次的エンドポイントは,12 ヵ月の時点での,推算糸球体濾過量(eGFR)のベースラインからの変化量とした.安全性も評価した.

結 果

155 例が無作為化され,38 例にシベプレンリマブ 2 mg/kg,41 例に 4 mg/kg,38 例に 8 mg/kg,38 例にプラセボを投与した.12 ヵ月の時点で,24 時間尿蛋白/クレアチニン比のベースラインからの幾何平均比の低下(±SE)は,シベプレンリマブ 2 mg 群 47.2±8.2%,4 mg 群 58.8±6.1%,8 mg 群 62.0±5.7%,プラセボ群 20.0±12.6%であった.12 ヵ月の時点で,eGFR(mL/分/1.73 m2)のベースラインからの最小二乗平均(±SE)変化量は,シベプレンリマブ 2 mg 群 -2.7±1.8,4 mg 群 0.2±1.7,8 mg 群 -1.5±1.8,プラセボ群 -7.4±1.8 であった.シベプレンリマブまたはプラセボ投与開始後の有害事象発現率は,シベプレンリマブ統合群で 78.6%,プラセボ群で 71.1%であった.

結 論

IgA 腎症患者では,シベプレンリマブによる 12 ヵ月間の治療により,プラセボと比較して蛋白尿が有意に大きく減少した.(ビステラ社から研究助成を受けた.ENVISION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04287985,EudraCT 登録番号 2019-002531-29)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 20 - 31. )