September 18, 2025 Vol. 393 No. 11
人工呼吸管理期間を最小限にするための比例補助換気
Proportional-Assist Ventilation for Minimizing the Duration of Mechanical Ventilation
K.J. Bosma and Others
重症患者では,合併症のリスクを低減させ,長期転帰を向上させるために,人工呼吸器からの離脱を促進することが重要である.負荷を調節できる「ゲイン」を用いた比例補助換気(PAV+)を使用した場合,圧支持換気(PSV)を使用した場合と比較して,人工呼吸器離脱成功までの期間が短くなるかは明らかでない.
国際共同臨床試験で,人工呼吸管理を 24 時間以上受けており,PSV による部分的換気補助への移行は可能であるが,人工呼吸器からの離脱はまだ可能ではない成人患者を,PAV+(正常範囲の呼吸仕事量を目標とする)群と,PSV(正常範囲の呼吸数および 1 回換気量を目標とする)群に無作為に割り付けた.主要転帰は,無作為化から人工呼吸器離脱成功までの期間とした.
7 ヵ国 23 施設で 722 例が登録され,573 例が無作為化され解析対象となった.人工呼吸器離脱成功までの期間の中央値は,PAV+群で 7.3 日(95%信頼区間 [CI] 6.2~9.7),PSV 群で 6.8 日(95% CI 5.4~8.8)であった(P=0.58).人工呼吸器非使用日数の中央値,再挿管および気管切開の発生率,90 日以内の死亡の発生率(PAV+群 29.6%,PSV 群 26.6%)は,いずれも副次的転帰であったが,2 群で同程度であった.鎮静薬に関して,28 日の時点におけるミダゾラム等価用量のベースライン用量に対する差の平均(±SD)は,PAV+群では -1.51±3.28 mg/kg 体重,PSV 群では 0.04±0.97 mg/kg であった.重篤な有害事象は,PAV+群では 31 例(10.8%)に発現し,PSV 群では 28 例(9.8%)に発現した(P=0.79).
人工呼吸器離脱までの期間に,PAV+群と PSV 群とのあいだで有意差は認められなかった.(カナダ健康研究所ほかから研究助成を受けた.PROMIZING 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02447692)